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Channel: 製造業品質改善の進め方 高崎ものづくり技術研究所Blog
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絶対に緩まないナット:下請け体質からの脱出対策

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絶対に緩まない「ハードロックナット」は、低コストでしっかりと新幹線の
安全走行を支え続けている。
「ハードロックナット」の構造はとてもシンプルで、しかも絶対に緩まないと
アメリカNASAからもお墨付きをもらっている。では、どのように緩まないナット
考え付いたのか?



ハードロック工業の若林社長が考えついたのは、1本のボルトに「凸凹」形状の2つ
のナットと使う方法。
凸形状の下ナットは、凸形に加工する際に芯を少しズラすこと(偏芯加工)でクサビ
の役割を果たす。凹形状の上ナットは、凹形に加工する際に芯をズラさないこと
(真円加工)で、ハンマーでクサビを打ち込む機能を実現した。2つのナットが
がっちりかみ合えば、緩みがまったく起きなくなる。
下請け2.jpg
「ハードロックナット」は1976年、関西の大手私鉄から電力設備向けに採用され、
その後事業は急成長していった。
「ハードロックナット」は、世界一厳しいとされNAS(米国航空規格)の振動試験
でも優秀な成績を示した。価格は普通のナットの4倍から5倍だが、一旦締めれば
メンテナンスは不要だ。保守点検に必要な費用を大幅にカットできる。

若林社長は、「中小企業は大企業に比べ不利な面がたくさんあります。資金調達力
の弱さ、知名度の低さを背景とした人材集めの難しさなど、数え上げたらきりが
ありません。でも、アイデアに気づく機会は平等です。もちろん全く新しい製品を
開発することは難しいが、この世には完全な製品などない。不完全な部分を改良
することで新たな需要を生み出せると考えるのです。

中小企業こそ独自の技術力と営業力を強化すべきです。良い製品さえ作れば黙って
いても売れるという考えは間違いです。大企業ならばブランド力が信用に直結し
ますが、中小企業は違います。地道に製品を売り込む過程で顧客が何を求めている
かを知り、それが新たなアイデアを生む力になるのです。

たいていの中小企業は下請けですが、発注元の大手に頼ってばかりでは景気に翻弄
されます。中小企業が自立するには、オンリーワン製品を武器に独自の販売先を
開拓する必要があるのです。」そして、中小企業の4つのあるべき姿を以下の様に
提唱しています。

ハードロック工業4つの「あるべき」
1.中小企業は頭(アイデア)で勝負すべき
 ①すべてのものに好奇心をもち、見て、触れて、感じる
 ②世の中の商品はすべて未完成、お客様が何に困っているか、常に考える
 ③世の中のものはすべて組み合わせで成り立つと考える(ナットとくさび)

2.本業を重視し地道な商品開発を行っていくべき
 ①本当に利益を出すのはロングセラー商品(単発ヒット商品は売れ残り在庫の山)
 ②一つのテーマを徹底的に掘り下げ、規模の拡大は行わない
 ③知財権で商品をガード、特許期限を一日でも長く伸ばす工夫をする 
 ④開発者が情熱を注ぎこみ、絶対に自分の力で世の中に出すという意気込み

3.中小企業こそ営業に力を入れるべき
 ①トップ(開発者)が自らがあたり、生産をアウトソーシングしても、営業
  活動の手は抜かない
 ②自らがあたることで最終ユーザーの評価、ニーズを把握、開発にフィード
  バックする
 ③キーマン、総元締め、親玉を狙う(鉄道、鉄塔、橋梁、原子力)
 ④知名度を上げる努力を怠らない
 ⑤リスクが伴っても海外へ進出するメリット

4.外部経営資源(人材)の有効活用、根幹部分は社内で人材育成すべき
 ①大手企業退職者採用・・・工場長(マネジメント)
 ②コンサルタント・・・航空宇宙分野品質マネジメントシステム、生産性向上、
            海外販路開拓
 ③大学との共同研究・・・緩まない理論的な証明



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