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Channel: 製造業品質改善の進め方 高崎ものづくり技術研究所Blog
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簡易式FMEA評価法導入のステップ5:DRBFM/FTA/リスクアセスメント事例

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品質、信頼性を確保するため、FMEA、FTAなどの信頼性解析ツールを使用します。
ただ、正しく理論を理解しないまま導入し、使用目的が間違っていたり、手順を
間違えるなど、せっかくのツールが生かされていない例が非常に多いのが現状
です。

FMEA手法の解説は巷に溢れています。
しかしながら、設計プロセスの中での位置づけが不明確であったり、部品レベル
ユニットレベルでのFMEA実施手順、電子回路や、ソフト組込み機器のFMEA実施
手順について具体的に解説しているものはほとんどありません。

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FMEAFTA.jpg

FMEAは、故障モードを出発点として、製品・システムの想定外の故障、事故を
漏れなく洗い出し、対策を講ずるためのボトムアップの解析ツールです。
また、FTAは、望ましくない故障や事故をトップ事象に、中間事象、基本事象
と掘り下げ、発生確率を予測し対策するトップダウンの解析ツールです。

hikaku .jpg
それぞれのツールを単独に解説してもその特質をなかなか理解できないのですが
比較表を作成することによって、その違いが良く分かります。

その大きな違いは
①FTAは、故障、事故が既知の流用度が高い製品の解析に適しており
 FMEAは逆に、故障、事故の予測が難しい、新規性の高い製品の解析を
 行う抜け漏れ対策に適しています。

②FTAは事故や故障が発生した場合の解析のため、比較的受け入れやすい
 のですが、FMEAの故障モードを出発点として、どのような事故や故障
 が発生するか?逆の考え方をするため、その手順の間違いが非常に
 多いのが実情です。

③決定的な違いは、FTAは製品を熟知した製品設計担当の設計部門主体で行い
 FMEAは、部品やアッセンブリーの設計を担当する設計部門主体で行うのが
 良いと思われます。
 但し、製品設計部門でFTAを実施する場合は、部品やアッセンブリーを
 担当する部門や協力会社と共同で実施する必要があります。

 問題はFMEAの場合です。
 つまり、部品やアッセンブリーレベルを担当する部門あるいは協力会社は
 製品の使われ方や機能は情報が乏しく、ほとんど理解ができていないため、
 製品の故障、事故を洗い出せないのです。
 (故障モードを列挙しても、製品の事故や故障までは想定できない)
 ここに、FMEAの難しさがあります。

このような問題の指摘、解決方法は、一般の解説書やセミナーではだれも
教えてくれません。



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簡易式FMEA評価法導入のステップ4:DRBFM/FTA/リスクアセスメント事例

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FMEA簡易評価法導入ステップ4を解説します。
不良ゼロ達成するための唯一の手段は「予防のしくみ」構築です。
ただ、「予防のしくみ」といきなり言われてもイメージが沸かない人も多く
いると思います。

FMEA手法の解説は巷に溢れています。
しかしながら、設計プロセスの中での位置づけが不明確であったり、部品レベル
ユニットレベルでのFMEA実施手順、電子回路や、ソフト組込み機器のFMEA実施
手順について具体的に解説しているものはほとんどありません。

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従来の品質管理は、「是正処置」主体で、不良が出たら対策するという考え方が
一般的であったために、なかなか「予防のしくみ」のイメージが沸きにくいのだと
考えられます。

当研究所では、中小企業の実現できる範囲で、負担にならない「予防のしくみ」を
提案しています。

「予防処置のしくみ」は、下図の通り、五つのルールから成り立っています。
各ルールは、PDCAの形でつながっており、徐々にレベルアップが図れる仕組み
になっています。
では、ルールの一つ一つを説明していきましょう

予防のしくみ.jpg

1.工程設計ルール
工程設計とは、材料を加工、組み立てし図面通りの製品に仕上げるための5Mの
組み合わせ、条件、管理ポイントを決めることです。
設計の結果はQC工程表、作業指示書、機械設定表などのドキュメント、実際の
製造ラインとしてアウトプットさせます。

2.予防ルール
工程設計で決められた通り、加工や、作業を実施する上で、指示通りに間違わず
に行うにはどうするか、過失や故意で、決められたことが守れない場合にどのような
対策を打ったらいいかを予測し、事前に工程設計に組み込みます。
その中で、ヒューマンエラー(ポカヨケ)対策は、最も重要な予防対策です。
そして、予防対策が十分かどうかをFMEAで評価し、漏れが無いようにします。

  工程FMEA簡易評価法

3.設備治工具管理ルール
機械の故障防止のための点検保守ルール、や加工精度ばらつきを管理するルール
材料の違いなどによる加工、設定のルール、設置環境保持・監視のルールなど。

4.流出防止ルール
万が一不良品が作られた時、それが市場に出て行かないための検査工程設計ルール
検査装置導入ルール、検査結果の工程フィードバックルールなど。

5.工程の日常管理ルール
4M変更に機敏に対応する処理フロー、責任部署の明確化、異常監視ルール
不良が発生した時の原因解析、対策ルール(予防のしくみへフィードバック)など

 不良原因解析2段階法の基本ステップ
 慢性不良の原因究明と対策
 体系的4M変更管理 

以上のルールは
工程設計(P)⇒ 製造(D)⇒日常管理・検査(C)⇒改善(A)の仕組みをより
高度な形に成長させる働きを持っています。

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簡易式FMEA評価法導入のステップ3;DRBFM/FTA/リスクアセスメント事例

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FMEA簡易評価法を実施する上で、「故障モード」の意味を正しく理解する
ことは必須条件です。
ここでは、「故障モード」の意味と、FMEAにおける「故障モード」の位置づけと
「ボトムアップ解析」の意味について徹底解説します。

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1.故障モードとは
故障モードとは、例えば、断線、短絡、折損、摩耗、特性の劣化などであり
故障そのものではなく、システムの故障をもたらす、部品の構造的な役割低下
もしくは喪失、物理的な破壊をいいます。

製造工程についても故障モードを考えます。
この場合、部品をつけなかった、正しい手順でつけなかったというような、
その工程で行うべきと決められていることに違反することが故障モードです。
つまり、製造工程を設計する(5Mの管理要因を決める)事によって品質特性
が得られる特性要因図が完成します。
その特性要因図は、構造であり、その構造が壊れ、役割低下もしくは喪失する
ことを、工程の故障モードといいます。

「故障モード」は、「故障」、「不良」などと区別されます。
「故障」は故障モードが引金となって発生する機能障害です。その製品が機能
しない原因となる不具合が必ずあります。この故障(機能障害)を引き起こした
原因、これが故障モードです。
「不良」とは、もともと機能を満足しない設計ミスであったり、指示どおり
製造されなかったことによる欠陥(品)であったり、故障モード、故障とは
明確に区別しなければなりません。
FMEAでは、この「故障モード」を対象に、すべての故障モードを列挙し、
その影響を評価します。
故障モード.jpg

2.故障モードをFMEAで使う理由
製品のモデルチェンジを行う、または一部の部品を新しくするなど程度の差は
あっても、設計を行う場合には、過去に発生したトラブルが起きないように注意
を払って設計し、試作評価を行います。
しかし、往々にして「問題ないはず」として設計した結果、市場で思わぬ故障が
発生し「こんな筈ではなかった」という結果になるのです。

そうならないためには、発生の可能性を考えず、「もしこの部品が壊れたら」
どうなるだろうか?どのような故障や事故が発生するだろうか?
「このユニットが動作しなくなったら」システムにどのような影響を与える
だろうか?と、考えながら設計を進めることが必要です。
これを「ボトムアップ型」の設計と呼ぶことにします。

それに対して従来は、このように考慮して設計したので「過去のトラブルは
起きない」はずというように設計を進めます。
これを「トップダウン型」の設計と呼びます。

ある新しいモデルの製品がどういう故障を起こしやすいか直接予想すること
は難しい作業です。しかし、「トップダウン型」の設計では、十分に検証
出来ないまま、これで良しとしてしまうのです。

「ボトムアップ型」設計では、故障モードから故障にいたるメカニズムを
推測していくことで、発生が予想される故障が漏れなく列挙することが可能
になります。つまり想定外の故障、事故、災害を洗い出し、事前に対策を
講ずることが可能になる、これが故障モードを考える意味なのです。

従って、「ボトムアップ型」の信頼性設計を行う際には、部品の構造や機能
から考えられる故障モードをすべて抽出するノウハウが必要になってきます。

4.故障モードは設計構造の破壊をいう
製品、ソフトウエア、製造工程を対象として、信頼性設計を実施する上で、故障
モード(構造破壊)の概念を明確にしておく必要があります。
これは、各製品の種類、使われ方、使用環境条件など、各企業で蓄積している
故障や事故の過去のデータからリストアップすべき固有技術の内容であり、信頼
性設計、安全性設計の元となる最重要事項(ノウハウ)であるべき事項です。
以下に一般的な故障モードの例を列挙します。

 ■製品を構成する部品の構造破壊、ユニット間の接続破壊
製品においては、下記の故障モード(構造的破壊)によって動作停止、異音、
などの「故障」(機能障害)をもたらす原因となる
・機構;破損、摩耗、劣化、疲労、腐食、外れ、ゆるみ、剥がれ、変形、硬化など
・電気;断線、絶縁不良、接触不良、特性変化(R,C,Lなど)
部品不良、部品選定ミス、機能設計ミスは故障モードではないので、FMEAの
対象外。
故障モード(製品).jpg

 ■ソフトウエアの構造破壊
ソフトウエアの論理構造自体は破壊しないが、環境影響、ハードの破壊によって
論理は正常に働かなくなる。バグ(機能設計ミス)は故障モードとは区別され、
機能設計上の問題であり、FMEAの対象外である。
・ソフト;入力システムの破壊、論理演算システムの破壊、ノイズ、電磁波など
故障モード(ソフト).jpg

■工程を構成する5Mの構造破壊
工程(5Mの管理項目)に違反するという、設計された工程の構造が破壊すること
によって、品質(故障)・納期・コスト・安全・環境に影響を与える。
工程の構造が容易に破壊するということは、工程設計の信頼性が低いことに
他ならない。製品も、工程も構造破壊は「故障モード」と呼び、考え方は同一
にしてFMEAを実施しなければならない。

・機械;故障停止、停電停止、調整の狂い、刃物の摩耗、故意による動作異常
・方法;手順書の紛失、手順書の破損または汚れで正しい方法が示されない
・材料;成分違い、配合違い、異物混入、偽物、劣化品、変形品、処理不良
・人;作業のバラつき、ポカミス、指示違反、手作業による異物付着、個人差 
・測定;測定機の狂い、故障、環境による変化

故障モード(工程設計).jpg 
FMEA実施に当たっては、故障モードについて、製品(ハード)、ソフトウエア
、製造工程における考え方を整理して、事前にその製品、製造工程ごとに
「故障モード一覧表」をあらかじめ作成しておく必要があることを指摘して
おきます。
FMEA実施時は、5,6人の設計者が集まって、チームを組んで故障モードを
すべて列挙すると言われていますが、これは現実的では有りません。忙しい
設計者が時間を割いて一つ一つ故障モードを列挙しながらFMEAを実施する
作業は、特に中小企業においては実務上、困難と言わざるを得ません。

「故障モード一覧表」の存在は、効率的なFMEAのレビュー作業が実施可能に
なることはもちろん、設計段階で漏れのない信頼性、安全性の検討を実施する
上でも有効な手段となるはずです。(ボトムアップ型の設計)

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簡易式FMEA評価法導入のステップ2:DRBFM/FTA/リスクアセスメント事例

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FMEA簡易評価法の一般的な実施手順の概要と実施上の問題点を整理し、実務
に落とし込むための条件と課題について考えてみます。

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1.FMEA実施上の問題点
問題点1.
FMEAは、部品やコンポーネントの「故障モード」が、完成品に与える影響を
評価しなければならないのに、「設計ミス」「仕様漏れ」など、未熟な設計の
バグ探しが目的だったり、製品やシステムの故障の起こる原因を解析する目的
で、FMEAを実施している例が挙げられます。
「不良」と「故障モード」、「トップダウン」と「ボトムアップ」の意味を
はっきりと区別することが必要です。

問題点2.
10点法による評価基準については、各所で問題が指摘されています。
10点法は部品単体や、簡単なアッセンブリーの設計、製造を行っている企業に
とって現実に適合しない事は明らかです。厳密な信頼性データを持ちあわせな
い一般企業にとって、それが5点なのか6点なのかは判断に苦しみます。ただ、
それを理由に5点法に変更しても判断基準は主観に基づいて行われるため、問題
の根本は解決しません。

問題点3.
対策が必要かどうかの判断基準が曖昧であることも問題点の一つです。
つまり相対評価(RPN)が80点以上は対策が必要なのか、それとも120点以上
を対策するのかは、各々の判断に任されていますが、その根拠を理由付ける
データは持ち合わせていません。

問題点4.
信頼性設計を評価するFMEAは信頼性設計を手抜きして実施しても意味が
ありません。つまり「ボトムアップ型」の設計方法に切り替える必要が
あります。「トップダウン型」の設計手法を行っているにも関わらず
FMEAの時点で、初めて「故障モード」をリストアップする「ボトムアップ型」
の解析を行おうとしても、手戻りが多く発生し、また抜け漏れが多い場合に
膨大な時間を必要とします。

FMEAを導入する場合は、ボトムアップ型の考えに基づく設計手法に切り替える
必要があります。

2.FMEA導入時の検討事項
FMEA導入に当たって、企業が検討しなければならない項目を整理します。
FMEAは手法だけを、単独でそのままツールとして導入してもうまく機能しません。
以下の4項目を社内の仕組みとして構築することによって、はじめて有効に
機能するのです。
(1)故障モードリストの作成と運用
(2)信頼性設計手法(ボトムアップ型の設計手法)の確立と仕組み化
(3)過去の不具合事例の蓄積と伝承の仕組み確立
(4)FMEA実施手順と評価基準の明確化
(5)設計の内容によってFTA/FMEAのどちらかをを選択する判断基準の明確化

2.1故障モードリストの作成と運用
製品の故障モードは、部品やコンポーネントの構造的な役割低下、もしくは
役割の喪失、物理的な破壊をいいます。
各製品を構成する部品、部品の結合状態ごとに故障モードの基本形を事前に
洗い出しリストアップしておくことによって、信頼性設計、およびFMEAによ
る評価が効率よく実施されます。例えば以下のようになります。

【シャフト加工部品】
 折損・・・ねじり方向の応力による/軸と直角方向の応力による
 摩耗・・・回転による/振動による/衝撃による

【溶接部品】
 剥がれ・・・繰り返しストレスによる/衝撃による/振動による
 
【コネクタ接続】
 端子接触不良・・・端子の酸化による
 線材の断線・・・繰り返しストレスによる/過大な応力による 
 ショート・・・異物混入による/絶縁破壊による

【組込みソフトを含むコンポーネント】
 コンポーネントの機能を、入力⇒処理⇒出力 とした場合、入力の状態と
 処理の関係性が崩れ、正しく出力しない、出力が不安定、出力しないなど

2.2 信頼性設計手法の確立と仕組み化
いままで、個人のスキル、経験に頼っていた以下の信頼性設計手法を仕組み
として社内で共有可能とすることが求められます。
 ・信頼性の高い部品、材料の選定基準
 ・信頼性の高い部品加工形状、表面処理方法などの設計基準
 ・溶接、螺子などの信頼性の高い結合手段の設計基準
 ・繰り返し応力の掛かる部品の応力破壊防止設計基準
 ・ソフトウエアを含むシステムの信頼性設計技術
 ・安全性設計技術
 ・其の他

2.3過去の不具合事例の蓄積と伝承の仕組み確立
同様に、過去の不具合事例を、上記の仕組みの中にフィードバックする手順
を組込み、検索可能とすることで二度と同様の不具合を発生させない
(再発防止)設計を行うようにします。

2.4 FMEA実施手順と評価基準の明確化
FMEAの正しい実施手順を社内で確立します。
評価の目的は、信頼性設計に抜け漏れが無いかを社内の信頼性設計の基準に
照らし、確認することです。
そこで、もし、抜け漏れが発見されたなら、設計基準通り設計されたのか、
または基準そのものに欠陥があるのかの原因追求を行い、是正します。

危険優先指数(RPN)の計算結果が100点なのか、200点なのかは、重要な問題
ではありません。自社の信頼性設計のしくみが、うまく機能しているかどうか
が問題なのです。

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FMEA導入ステップ:DRBFM/FTA/リスクアセスメント事例

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FMEA簡易評価法は小規模な設計部門でも導入可能で、効果の上がるFMEA手法
について解説します。
膨大な資料を作成するFMEAは、中小企業にとって現実的では有りません。
また、FMEAは「不良低減のためのツール」ではありません。
本来の目的である「市場に於けるリスクの低減」は十分に理解されて
おらず、多くの企業で間違った解釈のもとに実施されています。

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FMEA(故障モードとその影響の解析)は、製品設計段階と、製造工程の設計
段階で実施が可能です。理論の勉強は大切ですが、実務に落とし込んで使い
こなしていくには、使用する側で最適な手順に落とし込まなければ、効果的な
ツールとはなり得ません。

ここでは、FMEAについて「How To」については他の識者に譲ることに
して「Know Why」の観点で理論の解説を進め、続いて次回の記事で、いかに
実務のなかで使いこなして行くかを考えてみます。

FMEA導入の前段階で理解が欠かせないのは「ボトムアップ解析」
「故障モード」の二つです。これらについて、理解することなしにFMEAを
本来の目的で使いこなすことはできません。

1.FMEAはなぜ生まれたか
製造業の大多数を占める中小企業が、社内で扱っている部品や製品を対象に
FMEAを実施する場合、もともと、米国で高額な軍需システム、宇宙航空システ
ム用に考案されたFMEAをそのまま適用するのは実用的では有りません。

何百万ドルもする機械やシステムが故障によって使えなくなることは大きな
損失となります。そこで、コンピュータを駆使して、膨大な信頼性データを
インプットして計算させたのです。

またアメリカの自動車会社の場合、メーカーはAIAGのFMEAマニュアルにある
評価水準を使用するように求められますが、これも自動車に適用するFMEAで
あり、部品単体、またはいくつかの部品で構成された小規模なアッセンブリー
などは、10段階に細分化された基準による評価は必要ありません。
また、マニュアルでは、完成車における故障・事故を想定した評価項目のため
部品点数の少ない製品、半製品には適用できません。

小規模な構成の製品用に使いやすくアレンジするためには、FMEAの基本的な
考え方や実施手順を正しく理解し、目的を損なわずにアレンジする必要があり
ます。

2.FMEAの目的
FMEAは一言で言うと「市場で発生し得る故障や事故のリスクを検証するための
ツール」のことです。設計不良を減らすためのツールではありません。

近年、自動車は、安全上の欠陥が問題となると、リコールを実施します。これは
信頼性設計(安全設計)が不備であったことが判明したために、市場で故障や
事故が起きる可能性があるからです。
 注.信頼性設計(安全設計)は以降、信頼性設計の表現を使います。

このような事を防ぐために、信頼性設計をしっかり実施し、その設計に漏れや
不備が無いようにFMEA評価を実施するのです。

仕様の検討漏れや、部品の選定ミスなどによって初めから機能を満足していない
欠陥品は明らかに設計ミスでありFMEAの評価対象外です。機能設計の悪さは
設計プロセスそのものや技術者のスキルに原因があるのであって、それをまず
正す必要があります。

3.なぜFMEAを使うのか?
では、なぜFMEAを信頼性設計の評価手段として使うのでしょうか?
信頼性設計とは、あらゆる使用条件(あらゆる環境、使用者のあらゆる使い方)
において、故障しないように製品を設計することです。また、万が一故障し
ても、事故や災害が起きないように安全に配慮した設計することです。
家電製品が発火して火災を起こしたり、エアーバックが異常爆発してけがを
したりするのは、信頼性設計に欠陥があったからです。

機能設計は、試作して動作させれば意図した動きを目で見たり、測定したりする
ことによって、良い悪いがはっきり確認できますが、信頼性設計は、故障や事故
が起きることをあらゆる環境条件や、使用条件で確認することはできません。
温度ストレスを掛けて耐久試験を行っても、それはごく一部の条件であって、
市場の様々な環境条件下で発生する、想定外の故障、事故をすべて洗い出すこと
はできません。

そこで、市場で起きる故障や事故の程度(リスク)を最小限に食い止めるために
FMEAにより設計検討不足、抜け漏れが無いかを検証するのです。

4.信頼性設計とは
FMEAを実施する前に信頼性設計を済ませておく必要があります。これは、
個人の設計スキルの問題ではなく、設計ルールの中に、過去の製品から得ら
れた固有の伝承技術(ノウハウ)を共有しながら進める仕組みがなければ対応
できません。

信頼性設計の手段として、一般的には以下のようなものがあげられます。
 ・信頼性の高い部品、材料の選定基準
 ・信頼性の高い部品加工形状、表面処理方法などの設計基準
 ・溶接、螺子などの信頼性の高い結合手段の設計基準
 ・ソフトウエアを含むシステムの信頼性設計技術
 ・安全性設計技術

5.故障モードとは
故障モードとは、システムの故障をもたらす、部品の構造的な役割低下
もしくは喪失のことをいいます。
例えば、構造物の場合、断線、短絡、折損、摩耗など、の特性の劣化、物理
的な構造破壊をいいます。
この破壊によって動作停止、異音、などの「故障」をもたらす原因となります。

「故障」とは「故障モード」と区別され、機能障害をいいます。その製品が
機能しない原因となる不具合が必ずあります。この故障(機能障害)を引き起こ
した原因、これが故障モードです。
FMEAでは、この「故障モード」をすべて列挙し、すべての故障モードの
影響を評価します。

6.故障モードを使う理由
製品のモデルチェンジを行う、または一部の部品を新しくするなど程度の差は
あっても、設計を行う場合には、過去に発生したトラブルが起きないように注意
を払って設計し、試作評価を行います。
しかし、往々にして「問題ないはず」として設計した結果、市場で思わぬ故障が
発生し「こんな筈ではなかった」という結果になるのです。

そうならないためには、発生の可能性を考えず、「もしこの部品が壊れたら」
どうなるだろうか?どのような故障や事故が発生するだろうか?
「このユニットが動作しなくなったら」システムにどのような影響を与える
だろうか?と、考えながら設計を進めることが必要です。
これを「ボトムアップ型」の設計と呼ぶことにします。

それに対して従来は、このように考慮して設計したので「過去のトラブルは
起きない」はずというように設計を進めます。
これを「トップダウン型」の設計と呼びます。

ある新しいモデルの製品がどういう故障を起こしやすいか直接予想すること
は難しい作業です。しかし、「トップダウン型」の設計では、十分に検証
出来ないまま、これで良しとしてしまうのです。

「ボトムアップ型」設計では、故障モードから故障にいたるメカニズムを
推測していくことで、発生が予想される故障が漏れなく列挙することが可能
になります。つまり想定外の故障、事故、災害を洗い出し、事前に対策を
講ずることが可能になる、これが故障モードを考える意味なのです。

従って、「ボトムアップ型」の信頼性設計を行う際には、部品の構造や機能
から考えられる故障モードをすべて抽出するノウハウが必要になってきます。
第二部へ続く

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FMEA/FTAでリスクを未然に回避する:DRBFM/FTA/リスクアセスメント事例

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市場の故障・事故などリスクを未然に回避する設計手法について解説します。
試作や評価テストを行ったり、製造工程で品質を確認しても、市場で様々な
問題が発生しまます。

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下の図を見てください。
ポカミスと言っても、その背景の要因は複雑ですね。
また、ポカミス対策と言っても様々で、単純にポカよけ治具を作ればいいと
言うものでもありません。ポカミスの一つ一つの原因を突き止め、対策する
必要があるのです。

ヒューマンエラー対策 1121.jpg

ヒューマンエラー対策の進め方
工場の品質問題原因解析の進め方

次に、市場で故障や事故が発生するのは不良が工程で見つからずに流出して
しまうためですが、その原因は一体何でしょうか?


FMEA・リスクアセスメント1215.jpg

設計検証や試作、破壊試験など信頼性テストを行ったり、試験や検査を行って
いるのになぜ、不良が流出してしまうのでしょうか?
市場で発生する故障は、場合によって事故災害発生なのなどのリスクが想定
されます。対策としては、製品設計、工程設計における信頼性設計プロセス
信頼性解析手法の導入が重要なポイントとなります。
 ★FMEA/FTA導入、解析事例・進め方
 ★設計ミス防止対策の進め方

FMEAやFTAなどの手法は、それぞれが検出可能な、不具合対象と範囲が異なり
ます。一つの手法を導入したからと言って、すべての問題が解決するわけでは
ありません。
手法の正しい理解と正しい適用範囲、適用方法を知らなければ、せっかく手法を導入
しても効果はありません。

そして、設計プロセス、設計検証、信頼性テスト、FMEAなどの各工程で、総合的
に品質を作り込んでいく、システム思考が重要なポイントとなります。



FMEA導入を成功させる7つのポイント:DRBFM/FTA/リスクアセスメント事例

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ここでは、FMEA導入を成功させる7つのポイントについて解説します。

膨大な資料を作成するFMEAは、中小企業にとって現実的では有りません。
また、FMEAは「不良低減のためのツール」ではありません。
本来の目的である「市場に於ける製品の信頼性
確保、リスクの低減
」は十分に理解されておらず、多くの企業で
間違った解釈のもとに実施されています。

logoFMEA.jpg

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取引先の要求で、FMEAを導入したいという企業も多いと思います。
しかし、取引先は、何を期待してFMEAの導入を求めているのでしょうか?
また、自社でこれから導入する場合も、なにを目的としてFMEAを導入する
のか、目的を明確にする必要があります。

FMEAを導入したがうまく運用ができていない、またこれから導入したいが、
何を注意すればうまく導入できるのか?よくわからないという企業にとって
理解が必要な7つのポイントをまとめました。

ポイント1:FMEAは何を目的として導入するのか?
FMEAは信頼性・安全性設計の結果を漏れがないかどうか検証するツールであり
市場で想定外の故障や事故が起きないかどうか・設計に漏れがないかどうかを
事前に解析し、対策する手段として用いられるのであり、既知の不具合、または
再発が想定される(可能性がある)不具合は、あらかじめ要因をすべて洗い出し
対策を行います。基地の問題はFMEA解析の対象外です。

また、仕様確認漏れ、部品選定誤り、過去の同様トラブル対策の適用漏れ
などの設計ミスや設計手順飛ばし、設計検討不足、ポカミスによる不具合の
は、設計システム、設計者のスキルの問題であり、まずそれらを改善する必要
があります。

ポイント2:ボトムアップの解析とは?

一般的に、不具合の予防対策は、設計流用度が高い製品では、既知の問題
(過去トラブル)が起きないように、対策を行います。これは、従来から良く
使われる設計方法であり、製品の不具合の発生する要因を突き止め対策する
というトップダウンの設計手法です。

それに対して、FMEAは、特に新規性の高い製品設計において、未知の不具合
(故障や事故)を洗い出すための手法であり、既知の不具合を起点とする
トップダウン解析とは異なります。
新規性が高い設計では、部品や材料の故障モード(劣化や破損などの構造的
破壊)をリストアップし、そのそれぞれの故障モードから、装置・システム
がどのような故障や事故を引き起こすかを洗い出します。これをボトム
アップ解析と呼びます。

ポイント3:故障モードとは?
設計(design)とは、これから作るものに必要とされる機能や性能、信頼性
などを満たすため、どのような部品やコンポーネントが必要で、どのように
組み合わせて作るのかを仕様として決定することです。

その部品やコンポーネントは、特定の使用環境や使用者の使い方によって
破壊や劣化を引き起こします。それを故障モードと呼びます。
環境変化や使用方法が引金となって、部品の破壊・劣化(故障モード)が
発生し、機械の停止や機能不良につながります(故障)。その結果事故や
災害が発生することがあります。

新規性の高い製品の設計は、このような故障や事故をすべて想定するには
困難が伴います。そこで、故障モードを出発点として製品の事故や故障を
すべて洗い出します。(ボトムアップ解析) 

なぜ故障モードを起点とするのかと言うと、それは新規性が高い製品でも
部品の破壊や劣化などの故障モードは容易に想定がつき、洗い出すことが
できるからです。

ポイント4:流用度の高い製品の解析手法は?
流用度が高い製品の設計は、過去の品質情報、過去のトラブル事例を基に
その対策がフィードバックされているかどうかを検証すれば、解決する問題
が多いと考えられます。
この場合FTAや、リスクアセスメントの手法がフィットします。従ってFTAを
実施した後に、想定外の不具合が発生しないかどうかをFMEAにて解析します。
設計工程で、これらの手法をうまく使い分けて、最も効果的な方法で実施する
必要がありますが、現状では、このような考えで設計を行っている企業は
少ないと言えます。

ポイント5:FMEA解析の進め方の問題とは?

一般的な解説書では、FMEAを実施する際は、4,5人のチームを結成して実施
対象の製品の故障モードをすべて列挙して、それぞれの故障モードに対する
対策が十分かどうかを検討すると書かれています。

しかしながら、このような方法で本当に解析は可能でしょうか?中小企業では
このような効率が悪い方法で設計作業を行うことはほとんど不可能です。設計者
はそれぞれ個別に案件を抱えており、一つのFMEAだけに多くの時間を割くこと
はできません。実際には、各設計者が事前にセルフFMEAを実施し、その結果に
抜け漏れが無いかどうかを確認する意味で、複数の関係者が合同で検証する
FMEAレビューを実施するという手順を構築することが有効と思われます。

また、各部品・材料、コンポーネントの故障モードをあらかじめ洗い出し
「故障モード一覧表」を作成しておくことが求められます。

ポイント6:RPN評価基準の見直し
10段階のRPN相対評価法は、様々な矛盾を抱えています。
どの点数で採点するかは、根拠が不明確であり、主観に頼らざるを得ません。
自動車、家電、機械、事務機など様々な製品の使い方、環境条件に応じた評価
方法、基準を独自に定める必要がありますが、これは中小企業にとって、困難
が伴います。ここで参考になるのが、リスクアセスメントのリスク評価です。
(発生頻度と影響度を各5段階に分ける)
FMEAは、これに加えて、故障モードの検出度を加えた3項目の評価を行うように
基準を定める方法を推奨します。

ポイント7:設計手順の見直し

FMEAに限らず、各種の手法は、その導入前に、事前に社内の設計工程のどこに
組み込むのかを決めておく必要があります。FMEAは、従来の設計手順には馴染
まないボトムアップ解析を必要とするため、注意が必要です。
 ①機種ごとに、FMEA解析が必要かどうかの判断基準を設ける
 (流用度の高い製品は、FTAなどのトップダウン解析で行う)
 ②故障モード一覧表を作成し、維持管理を行う
 (FMEA実施時点で、故障モードを洗い出すのではなく、部品ごとに故障モード
  一覧表の作成を行っておく必要がある。)
 ③FMEAは、設計と同時進行でセルフFMEAの実施と、その内容にもれが無いか
  どうかを検証するため、複数の有識者を交えて行うFMEAレビューを実施する
 ④対策実施可否を判断するランク付けと評価基準を独自に設定する
 (リスクアセスメント評価基準は大いに参考となる)

最後に、FMEAは導入すれば設計品質が向上し、何でも解決するという先入観を
捨てることが重要です。
まず、自社の設計工程の、どこに問題があり、それには何が必要なのかをよく
考えて最適な手法、ツールを正しく理解し導入することが求められています。

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FMEA簡易評価法実施手順:DRBFM/FTA/リスクアセスメント事例

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小規模な設計部門でも導入可能で、効果の上がるFMEA手法について解説します。
膨大な資料作成を強いられるFMEAは、中小企業にとって困難な作業となり現実的
ではありません。

しかし、FMEAを導入すれば品質が良くなるという間違った考え方は捨てる必要が
あります。

◆ FMEA簡易評価法とは?
FMEAは「不良低減のためのツール」ではありません。
本来の目的である「市場に於ける故障発生時のリスクの低減」は十分に理解されて
おらず、多くの企業で間違った解釈のもとに実施されています。

FMEA簡易評価法は、中小製造業にとって負担にならず、しかも効果の上がる
FMEA手法です。また製品だけでなく、工程設計(工程FMEA)に対して同様に
適用が可能です。

◆FMEA簡易評価法の特徴
FMEA簡易評価法は簡単な部品や、部品点数の少ないユニットを設計製造する
企業で簡単に導入が可能です。
 特徴① 評価が困難な、10段階のRPN相対評価法は使わない。
 特徴② 信頼性設計(リスク回避)が十分かどうかを3段階で評価
 特徴③ 設計者自身が行うセルフFMEA(ボトムアップ設計)と、FMEA
     レビューの2段階実施で手戻りを防ぐ

◆ FMEAの目的と用途
そもそもFMEAを行う目的は、潜在したリスクが市場で発生しないように考慮した
設計がされているかどうか?を検証するために使用します。
従って、事前に潜在したリスクを抑え込む製品(工程)を設計しなければならない
のです。
 例1:食品製造工程で、異物が混入を防ぐ、または混入しても検査で検出できる 
 例2:製品設計工程で、使用者の誤使用でケガをしないように安全性設計がされてる

FMEAは、上記の対策が十分かどうかを検証するツールです。

FMEA・FTAの基礎0516.jpg

◆ セルフFMEA(設計段階)とFMEAレビュー(検証)
当研究所では、設計段階でセルフFMEAの実施により、信頼性・安全性設計と
確認を実施し、その結果を持ってFMEAレビューの実施を行う手順を提唱して
います。

この方法によって、僅かの項目を対象としたレビューを実施するだけで済む
ため手戻りも少なく、設計期間も大幅短縮が可能となります。
作業の負担も軽減されるため、中小企業のFMEA導入も容易となります。

スライド63.JPG

◆ ボトムアップ解析と故障モード
FMEAは部品レベルの「故障モード」を出発点に、ボトムアップの解析を
行い、製品(システム)の想定外の故障や事故を洗い出すことが目的ですが、その
ことを理解せず製品の「機能障害」を起点としたトップダウンの解析を行っている
例を多く見かけます。(トップダウン解析を行うのはFTAです)

つまり、システム(製品)に着目するのではなく、それを構成する部品に着目
しなければならないと言うことです。(製造工程の場合は5Mの要因)

様々な市場環境や使用条件のもとで発生し得る故障、事故を見逃すことが無いように
行うのが、FMEAのボトムアップ解析実施の本来の目的です。

◆ 部品・アッセンブリーのFMEA、組込みソフトのFMEA
自動車のように数万点の部品から構成される製品と、数点の部品から成る
アッセンブリーとでは、FMEAの実施方法は同じではありません。
また、ソフトウエア組込みユニットのFMEAの実施方法も新しく確立する必要
があります。

ソフトウエアの故障モード、市場でのリスクの評価基準をそれぞれ独自に設定
する必要があるのです。

このような問題点をすべて解決しようとしているのがFMEA簡易評価法です。

このサイトでは、FMEAを導入しようと計画している、また、現在FMEAを導入
しているが、疑問を感じている実務者を対象に、FMEAの考え方、実施手順に
ついて、わかりやすい様々な情報提供を行っています。

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FMEAで一体何ができるのか?DRBFM/FTA/リスクアセスメント事例

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FMEAは本来「信頼性解析手法」であり、安全性の解析、誤操作などヒューマン
ファクターの解析はできません。
FMEAは、部品の破損、摩耗などの原因による製品の故障と故障による一時的
な影響を解析するためのツールです。
FMEAで、何ができるのか?何ができないのか?を以下にて整理してみます。

スライド63.JPG

製品の信頼性や安全性に問題がある場合は外観上、動作上でわかるものは
試作評価や製造工程の検査で発見できます。
しかし、多くの問題は潜在しているため、設計段階でチェックする必要が
あります。
製品の企画段階、基本設計段階で信頼性や安全性を抜け漏れなく確保するため
強度設計、誤操作防止設計などを行って試作段階で実機による検証を行うという
方法を従来から行ってきました。

しかし、リコール問題の原因を調査すると、「評価不足」「検討不足」など
とする見解が示され、設計期間の短縮、製品構造の複雑化などによって十分
検討する時間がなかった、また「検査もれ」として、海外工場で人的ミスが多く
発生し潜在不良が検出されず流出するといった報告がなされ、必ず最後に
「再発防止」を徹底するとのコメントが報道されます。

FMEAやFTAなどの解析技法を使って、このような問題は本当に防げるでしょうか?
答えは否です。

その理由は
①発生確率の低い事象でも事故による影響の大きいものは対策の対象にしなければ
 ならないが、その項目が見逃されてしまい解析の対象としてリストアップされない。
 例えば、この部品は破損するはずがないので、故障モードリストに入れる必要が
 ないと設計者が判断した場合、など

②使用者のミスや故意による不安全行動をすべて加味すること困難であること。

③外乱の影響、設置、運転条件など市場での条件をすべて考慮に入れることは困難。
 つまり故障による影響の予測を行う際、事故や災害の発生、その影響の大きさ
 までは想定できない。

④部品点数が多いほど、時間と要因を要するため、コストアップ・開発期間の
 大幅増加、設計者の負担増になり、解析を行うのは困難となる

これらの問題に目をつむって、設計者のみに負担を強いるFMEAでは実際の
効果は得られないことになってしまいます。
そこで、当研究所では「FMEA簡易評価法」を実用化し、その手順を公開し
普及に努めています。
「FMEA簡易評価法」はFMEAの機能を失わず、簡易手順を実現したものです。

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キーワード解説:FMEA(DRBFM)/FTA/リスクアセスメント事例

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キーワード解説:FMEA(DRBFM)FTA/リスクアセスメント事例
近年、製品の市場でのトラブル、事故発生は、製造業にとって企業の存続が危ぶまれる
ほど大きなリスクをはらんでいます。

信頼性設計は製品の故障が少なければ良いというだけでなく、故障が発生したときに
どれだけ安全か?が問われる、安心安全に重点が置かれるようになって来ました。

FMEAやFTAは、このような顧客視点の設計や製造を行うため、想定外のトラブルも含め
市場で絶対にトラブルを流出させないための信頼性・安全性設計&解析ツールなのです。
リコールが頻発するのは、この信頼性・安全性設計が不十分、または解析が不十分で
あることを示しています。

企業は、ものづくりの前提として、信頼性+安全性重視の体制、設計手法、評価手法
市場品質のモニタ手法の導入とリスクマネジメントシステムの導入を進めて行くことが
求められています。

今までの技術者のスキルに依存した設計品質、発生したらフィードバックする実機による
評価テスト主体の信頼性評価は、見直しが必要です。
守りのシステム.jpg

【キーワード解説】
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 ★FMEA導入を成功させる7つのポイント【
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 ★FMEAとFTAの解析方法の違い【
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中小製造業 業務改善の進め方(思ったように改善が進まない理由とは?)

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業務改善の進め方(思ったように改善が進まない理由とは?)

1.業務改善が必要な背景
今、業務改善の必要性が叫ばれている。
その背景には、人口減少社会の進行と働き方改革の2点が考えられ、AI,IOTの
導入や、業務改善をはじめとした生産性向上に取り組まなければ、日本の経済
成長に深刻な影響を与えかねないという考えが浸透し、会社にとっても大きな
課題として認識されていると考えられる。

また、中小製造業に目を転じれば、国内受注額の減少、顧客の高度な品質要求
多品種小ロット受注生産など、人手不足の中で生産性をいかに高めて利益を捻出
していくかが課題となっている。

では、業務改善活動とはどのような活動を指すのであろうか?

(1)経費・業務削減との違い
業務改善と似た経営課題に、経費・業務削減がある。
経費削減はコストにのみ着目し、通信費や光熱費、オフィスの賃料などを対象に
した削減策で、財務知識を有していれば、どの会社においても共通して実施できる
ため、多くの会社が実践しています。一方で、業務削減は業務上に必要とされる
コミュニケーションやコスト、作業効率全てが削減の対象となり、経営資源である
ヒト、モノ、カネを総合的に見直す削減策です。

しかし、業務改善は自社が属する業界や社内の業務プロセスによって、改善策が
異なり、問題提議を行なってはじめて、問題や課題点が明らかとなるため、経費
・業務削減と区別して考えなければならない。また、目的や目標、改善策、実行
計画の精度が低いと、本質的な解決策にならないことも多く、適切なプロセス化
が必要となる。

(2)BPR(業務改革)との違い
BPR(業務改革)とは、会社の掲げる目標を達成するために、企業活動や組織構造
を全面的に見直し、再設計を行なう業務プロセス改革を指す。BPRは、部分的な
業務プロセスではなく、会社に所属する事業部門全てを対象とした再統合または
最適化を図る。経営コンセプトや産業構造、ビジネスルールなども対象となる
抜本的な組織改革のひとつであり、商品(製品)・サービスの品質向上や生産性
向上、コスト削減といった部分的な業務の改善策である業務改善とは異る。

業務改善は業務に従事する現場の社員が中心となって、現状分析・問題提起を行い
問題の分析および改善方法の立案、実行、評価を行ない、会社の売上・利益に直結
しやすい業務改善はさまざまな目的で実施される。

2.業務改善の目的
(1)生産性向上と効率化
業務改善の多くが、組織や従業員の生産性向上と業務の効率化を目的として実施
される。業務のシステム化や設備投資を行うことで、単純作業を簡略化・効率化し
余剰時間を使って、売上・利益に直結する付加価値業務への注力が可能となる。

また、業務の「選択と集中」は会社の業績に直結し、組織の生産性向上にもつな
がる。さらに、業務改善は経営資源(ヒト、モノ、カネ)を定量的に考察し、
具体的な目標数値を算出した上で、改善策に取り組むことができるため、従業員
の業務の効率化や意識改革を目的に実施される。

(2)品質向上とコスト削減
業務改善は商品・サービスの品質向上とコスト削減の効果を生み出しやすい施策
のひとつで、多くの会社が商品・サービスの品質向上とコスト削減を目的に、試行
錯誤を行い、日々業務改善に取り組んでいる。

経費削減や業務削減といった直接的・短期的なコスト削減は、商品・サービスの
品質や企業間競争力を低下させる可能性が考えられ、長期的な品質向上とコスト
削減には不向きといえる。業務改善は、顧客満足度向上やサービス機能の強化を
目的とした業務の見直し(システム化や新機器の導入)と継続的な改善が実行
できるため、中長期的な品質向上とコスト削減策が実現できる。

(3)労働環境の改善
業務改善を労働環境の改善に実施する企業も増えている。
業務の負担軽減は、従業員の裁量や能力で一定程度軽減できるが、中長期的
・継続的に実施し続けることは難しいといえる。業務改善は、業務内容を
「見える化」し業務の集約や設備投資を行うことで、従業員の業務負担を劇的に
削減・軽減できる。
その結果、従業員は売上・利益に直結する業務に集中でき、長時間労働の是正や
時間外労働の防止にもつながる。
また業務改善は、直接的な業務の他にもコミュニケーションの促進や業務のマン
ネリ化防止まで対象を広げられるため、社員満足度の向上も期待できる。

1.jpg

3.業務改善がうまく進まない理由
しかし、このようにメリットの大きい業務改善だが、必ずしもうまく進むとは
いかないのも事実である。以下は、ある企業の事例である。

(1)改善活動のしくみ導入
ある中小製造業のM社長は、ますます競争が激しくなる業界の中で生き残るために
「わが社は今すぐ変わらなければならない」という強い危機感を持っていた。
そして、社長自身が推進責任者となって、新規受注の獲得、業務プロセスの改善
人材育成の3本を柱とした改革プロジェクトを立ち上げた。

その中の業務プロセスの改善については各部署から中心となるプロジェクトメンバー
が集められ、改善活動の仕組みを構築し、改善活動の導入を行った。

導入の流れとしては、まずスタート段階ではモデル業務を設定し試行的に仕組み
を取り入れ、その後、全社展開を図るというものだった。

このような流れで業務プロセスの改善を行っていこうとしていたプロジェクトの
中心メンバーですが、実は一つ心配があった。それは過去にも同様な活動を行って
きた経験から、このまま仕組みだけを現場に落としても、現場がやらされ感の中
で言われたことしかやらないのではないかということだった。

本来、業務改善などは上からの指示がなくても社員自身が自分で考え解決できる
ようにならなければならない。中心メンバーは、そういった組織の受身体質の課題
も同時に解決すべく、他社が行った改革の成功事例などを参考にしながら、
「改革への取り組み指針の策定」、「現場の中で議論を円滑に進めるためのメンバー
の養成」「腹を割って何でも話せるミーティング手法の導入」なども業務プロセス
の改善の仕組みに取り入れた。

(2)形骸化していく各活動と社長向け成果発表会とのズレ
C社では、業務プロセス改善プロジェクトが全社展開された後、四半期に一度、全
部署ら改善活動に携わるメンバーが集まり、これまでの活動内容、活動に対する
成果、次へのステップ等を社長あてに報告するための成果発表会が開催されていた。

C社では、こういった社内の組織横断的な形式でのプロジェクトがなかったためか
最初の1年程度は、各チームとも大変議論が盛り上がり、改善すべき課題も明確に
なっていきました。また実際に、いくつかのチームでは、システム開発の作業効率
化や無駄な工数の削減など具体的な成果も出始めていたことから、発表会を聞いて
いた社長と中心メンバーは一定の手応えを感じていた。

しかし、その後しばらくして、順調に進んでいたかと思われていた改善活動の様子
が少しずつ変わり始めていった。
発表の中身は各チームそれぞれに違いがあり、進捗具合も千差万別ではあったが、
1年前にあった活動初期のころの盛り上がりがすっかりなくなり、発表者のプレゼン
も熱が入っていない。どこのチームも発表内容が非常にきれいにまとまってはいるが
「いついつまでに何をやりました。次回いつまでにこの作業に取りかかります」
というようにどことなく機械的に進められているように見受けられた。

さらに社長が感じたのが、取り組みの中身が、職場の整理整頓の徹底や単純ミスを
防止するための声掛け運動など、社長が期待していた業務改善とはかけ離れた
小ぶりなものばかりであるということだった。社長自身は決して焦っているわけ
ではなかったのですが、会社が変わるためにはもう少し大きなインパクトのある
改善を望んでいた。

プロジェクトの先行きを心配していた中心メンバーたちですが、その中の一人が
「現場は一体どういう状況なのか自分が少し探りを入れる」ということで、実際
に活動に参加している同期の仲間に状況を聞いてきたのでした。そこから見えて
きたのは、まさに中心メンバーが恐れていた活動の形骸化というものだった。

同期の話によると、確かに、プロジェクト開始当初は皆新鮮さを感じて盛り上が
っていったが、議論を重ねるうちに、問題点を選別し始めたという。

どういうことかというと、現場で起きている作業効率等の身近な問題については
解決策もすぐに浮かび実行に移すことはできました。ところが現場のメンバーに
とって、本当に解決したいと思っていることというのは「上位管理職層のマネジ
メントのあり方」や「経営方針、他部門との連携」といった自分たちには手の出
しようのないところにあったのです。しかし、現場のメンバーはそれらの問題は
対象外ということで議題にもあげず、自分たちでできる範囲のことだけに問題を
絞って議論を進めていった。

その結果、課題は小ぶりなものになり、できることはやりつつも、次第に議論は
低迷していき、ただでさえ目の前の数字や日常業務で忙しい中、進展が期待でき
ない議論には参加したくないということで欠席するメンバーも増えていった。

(3)改善活動が形骸化してしまった2つの背景
1つめは、改革活動スタート時に、社長と中心メンバーが策定した「取り組みの
指針」にある。
この指針には社長と中心メンバーが、改善活動がやらされ感で進まないように
するために、「期限や目標設定、取り組みテーマなど細かい部分については現場
の判断に任せる」「現場の部長以上のマネジメントが細かい関与をしないこと」
といったことが書かれていた。あまり細かい制約を設けず、現場が自律的に考え
行動してほしいということを基本方針として活動を展開したかったのだ。

しかしその結果、現場は自分たちで考えたやり方で進めたのはよかったのだが、
自分たちの責任や権限の範囲以外にある経営課題や他部門が絡む問題は避けて、
自分たちでできる範囲の問題だけを選んでしまっていたのだ。そして、現場の
意識の中には、「自分たちとしてできることをやったとしても、経営や他部門の
問題が解決しない限り会社全体は何も変わらない」という思いがあり、取り組み
への思いが次第に薄れていってしまったのだ。

仮に経営課題や他部門に絡む問題に関しても、プロジェクトの中心メンバーや
事務局あてに積極的に問題提起をすることなどを明記しておけば、少しは形骸化
を防げたのではないだろうか。

2つめが、業務プロセスの改善というものが日常の業務とは切り離して取り組まれ
たことにある。業務プロセスの改善という別枠のプロジェクトを立ち上げた時点
ですでに、「本業とは別の活動」という意識が芽生えてしまったことも一つだが
業務プロセス改善以外に経営計画の目標達成や人事評価制度の変更というのも
社員の頭の中では常に本業とは直接関係のないものとして存在している。

その結果、業務プロセス改善の活動自体の優先順位はそれほど高いものではなく
社員自身にとっては自分自身の評価に直結する業務への優先度が高くなっていった。
そして、形骸化してしまった1つめの理由と合わせて「自分たちでできることは
全てやった、本業も忙しいので業務プロセスの改善活動はこれで終わらせよう」
という流れを作ってしまったのだ。

結局のところ、C社ではいろいろな改革のテーマが立ち上がったことにより、社員
たちにとっては何が重要で、何の優先度が低いのかが判断できない状況でした。
「自分たちが変わらなければ」という目的だけは全員の共通の思いとしてあったが
「変わらなければ」という目的だけではさまざまな課題の中で優先順位を付ける
ことは判断できません。「変わらなければ」という目的が「何か変えよう」
「できることはやってみよう」といった判断基準にすり替わっていき優先順位の
定まらない、まさに「部分最適」のオンパレードを引き起こしてしまったのだ。

(4)重要なのは改革の先にある明確なビジョンを持つこと
さまざまな取り組みが同時並行に行われ、次第に形骸化し、改革どころか元の状態
に戻ってしまいそうな状況にあるC社だが、それではこの後C社が立て直しを図る
ためにどのように改革を進めればよいのだろうか。


まずは、経営者として、これまでの改革がうまくいかなかったということを素直に
受け止め、そのことを社員に真摯に伝えることが必要だ。実はこのプロセスを踏ま
ないと、次に何かの取り組みを行おうとしても必ず失敗する。

改革がうまくいっていないことは経営者よりも現場の社員のほうがより敏感に感じ
取っている。そういう状況の中で、過去の失敗を認めずに次に何かやろうとすると
社員は経営者に不信感を抱く。そして、信用がない状態の中で、改めて改革を宣言
しても、社員はもはやついてこようとはしない。

現在、日本を代表する大手電機メーカーが苦境に立たされている。こういった企業
経営者が過去何度も改革を宣言し、取り組みを行っている。しかし、そういった
過去の努力がなかなか実らないのは、その背景にすでに経営に対する信頼感が失われ
「笛吹けども踊らず」の状態があるからなだ。

まずは経営と現場の信頼関係を修復するために、勇気を持って、これまでの失敗
を認め、そして、なぜ失敗だったのかを社員全員に真摯に伝えることがとても重要
事なのだ。

次に、「変わること」自体が目的にならないように、改革の先にあるビジョンや
目的を明確にし、それを判断基準として、これまで取り組んできた各活動をいったん
取りやめ、明確になったビジョンや目的と照らし合わせて、何に絞って取り組む
べきか選択と集中を図ることが必要になる。

C社の場合は、実は中期経営計画の中で「営業利益の5%達成」という明確な指針
があった。ただ5%を実現するための具体的な戦略はなく、さらに「営業利益の
5%達成」という目標とは別に、社員の目的意識をブレさせるような他の目標が
いくつかあった。「社員がいきいきと働ける会社」「顧客指向が当たり前となって
いる会社」「永続企業として社会貢献する会社」といったような極めて抽象的な
目標らしきものがあり、社員の頭の中には、どこに向かうかの明確な指針は
なかったのです。

もともと、経営方針を策定するにあたって、社長自身が一番実現したかったことが
この「営業利益5%達成」だった。ところが、他の経営陣からは、「それでは夢が
ない」「社会貢献や社員の満足度も考慮すべきだ」などさまざまな意見がある中で
非常に不明瞭な方針となってしまっていた。

これでは、現場の社員は何に集中して取り組んでいけばよいのか判断がつかない。
また、これまでと同じように失敗を繰り返しかねない。同じ失敗を繰り返さない
ようにするためにも、方針として「営業利益の5%達成」に絞らなければならない。

まずは、全社員が一体となって行動を起こすべく、経営トップの権限と責任のもと
で、「営業利益の5%達成」の1点に目的意識を集中させることが必要なのだ。
そして、この明確な方向性を判断基準として、それを実現するための戦略と課題を
洗い出すことが必要だ。
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(5)経営者だけを攻めても、会社の成長はない
しかし、形骸化の理由は以上のべた2点だけなのだろうか?
社員としては、経営者を攻めても何の解決にもならない。会社というものはそういう
もので、その中で、生き残り策を模索していかなければ、社員の生活も保証できなく
なってしまう。

もともと、経営者のマネジメント能力は、大会社であっても上記の通り期待する
のは難しい。だとしたら、社員一人一人、どのように改善に取り組んでいくべきか?

中小製造業に限らず製造業では、顧客視点で、独自の製品、サービスを提供する
こと、そして適正な利益を得ること。そのためには、業務プロセスを見える化し
顧客サービスに徹し、ムダを省き、生産性を上げる。業務プロセス改善によって
付加価値を増してQCDの目標を達成する方策を講していくことが求められる。
2.jpg
現状のどこを見直せば、一層の効果が上がるのかは、業務に投入する人、モノ、
設備、費用に対し、どれくらいのアウトプットを得なければならないのかを経営
視点で検討しなければならない。3.jpg
また、自部門だけでは解決できない課題は、共同で改善に当たらなければならない。
今の現場管理者・監督層にはそこまで求められる時代になっていることを自覚
すべきである。残業をなくして、定時間で業務を終了させる、余力の出た人材を
更に付加価値業務へシフトするなど、現場の改革を推進していかなければならない。

つまり、受け身の体質から一刻も早く抜け出さなければ、自分たちの未来もない。

4M管理(Man/Machine/Method/Material)管理の体系的管理手順(長編コラム①)

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第一章 概要

1.はじめに
当研究所のWEBサイトの検索キーワードのトップは「4M変更管理」です。
このキーワードで、情報検索を行っているものづくり企業の方の目的はどこ
にあるのでしょうか?

おそらく、4Mの用語の解説はよく出てきますが、「4M変更の管理は、どの
ように行うか?」については、ネットや書籍などではあまり解説がされて
いない分野であるため、当研究所サイトにアクセスしているのではないかと
想像しています。

なぜ解説が少ないのか?
品質管理の手法は、様々ありますが、それらは戦後、アメリカやヨーロッパ
から理論体系が輸入され、学者によって翻訳され、製造業に広く使われるよう
になりました。
TQM、PDCA、最近ではISO9000,TS9000などがあります。
しかし、現場の実務に密着した4M変更管理に関しては、学者よりもむしろ企業
で経験を積んだ実務家が研究を行う分野であると思われ、それゆえ体系化が困難
となっているものと推測しています。

しかしながら、多品種少量、最近では変種変量生産を強いられている中小製造業
にとっては、いかに効率よく、トラブルを起こさずに製造現場の管理を行って
いくかは、重要なテーマとなっています。
当研究所が考える4M変更管理の中心となる実務手法は、日常業務における未然
防止のために、異常の見える化と早期発見「先手管理」と「重点管理」とです。
日常業務において、この2つのことを押さえておくことで、品質は格段に上がる
と確信しております。

そこで当研究所では、4M変更管理の体系化を試み、本コラムをまとめました。
不十分な点はあるかと思いますが、読者の皆様のご意見を頂きながら、今後も
充実化を図って行きたいと考えております。

2.4M変更管理の概要
そもそも、4M変化点管理を行う目的は何でしょうか?
お客様からの要望であるならば、お客様は何か意図をもってそのような要望を
出されているのだろうと思います。

しかし、お客様から指摘されるまでもなく「不良を流出させない」「お客様に
迷惑を掛けない」ためにはどうすればいいか?工場では、常に考えて行動され
ていることと思いますが、往々にして「もぐらたたき」になってしまい、不具合
が発生してからの後手、後手の対応になりがちです。

不具合の発生を未然に防止するにはどうしたらよいか?
それには、QC工程図を作成する、機械の保守点検を実施する、ポカヨケ治具を
準備する、作業者を事前に教育するなど、モノを生産する前に万全の策を講じます。
(工程設計における予防対策のしくみ)

モノの生産が始まったら、不良が出ないように、上記の予防策を組み込んだ決め
られた手順決められた方法(QC工程図・作業標準書)で整然と作業を行います。
ところが、整然とした作業を乱す、様々な要因が発生します。そのきっかけと
なるのが、変化点です。

いくら予防対策の仕組みを万全に講じても、生産現場では、変化点がきっかけ
となって不具合が生じてしまいます。様々な変化点が生じても不具合が生じない
ように現場で管理を行うことを、「変化点管理」「4M変更管理」などと呼びます。

なぜなぜ2段階法によるヒューマンエラー対策.jpg
変化点管理は、予防対策とも捉えられますが、もうすでに生産が始まってから
の管理なので、厳密には予防対策とは言いません。
(予防対策は生産を始める前に工程設計段階で講ずる処置のこと)

この予防対策で防ぎきれない項目(予防対策の不備や対応対象外)を、製造
現場で、不具合が発生しないように管理すること、これが変化点管理の目的です。

変化点管理の位置づけと目的が明確になったら、次に自社の工程で、何を管理
すれば不具合が発生しなくなるのか、項目を抽出して管理方法を決めます。
意図的であれ、意図的でない変化点であれ、工程が乱れないように管理する項目
を決め、日常管理の中で手順化しておきます。

異常・・・不良ではないが、放置すると不良につながる現象(異音がする、寸法
管理限界値を超えた、初物、中間、最終チェックで寸法が変化した)

不良(不具合)・・・寸法規格はずれ、検査不良、機械の停止、ヒューマン
エラー発生
不良(不具合)が発生する前に異常を検出して、速やかに対処し、不良を未然に
防止する、あるいは、不良が次工程へ流れないように管理する、それが「先手
管理」であり、何に重点を置くか(重要部品、重要工程)を決めて管理を行う
ことを「重点管理」と言います。


3.変化点管理で必要な設定は
①異常を定義する
 何を異常と定義するか点検項目、手順、判定基準を明確にします。これは、
 先手管理を行うために、自社の今までの実績や経験から、抽出すべき内容
 であり、世の中で決まっているわけではありません。

 異常が発生するのは、何らかの変化が生じていると考えられるので、それを
 突き止めて対策を講じます。

②重点管理項目を決める
 すべてを均一に管理することはできないので、重要製品、重要寸法、重要工程
 などを決めて点検点・管理点を定義します。
 重点管理では、一般の管理とは異なり、異常の監視周期の頻度を上げる、工程の
 点検項目・品質特性の監視項目を増やすなどの管理方法を取り、異常を漏らさず
 検出します。

③あらかじめ予測ができる変化点発生時の管理を明確にする
 設計変更、工程変更、段取り替え、人の交替など、それぞれに応じて①、②を
 適用します。

④予測できない突発的な変化点発生時の管理を明確にする
 停電、不具合発生による作業中断、機械の故障など、それぞれに応じて①、②
 を適用します。

変化点管理は、日常管理の大部分を占める重要な管理であり、管理監督層は
「異常」「重点項目」「予測できる変化点」「予測できない変化点」など、管理
方法について、各工程で明確に決めておかなければなりません。
変化点管理ボードは以上のような管理手順を明確にした上で、何を表示するのか
を決める必要があります。
4.4M変更管理の位置づけ
4M変更管理は、品質管理上、現場の日常管理の中でも重要な管理項目の一つで
ありISO9000の中での定義では「予防処置」に相当します。

「プロセスの監視測定を通じて得られた(危険)情報に基づいて、起こり得る
不適合が発生することを防止するために、その原因を除去する処置を決める事」
とあります。
但し、生産が始まる前に、事前に予防処置を講ずる本来の「予防」の考え方と
は異なります。あくまで、日常の生産活動の中における「予防的活動」なのです。
なぜなら、日常管理の中で、4M変更対応のための特別な監視体制や異常時の
対応を行わなければならず、費用や人出が掛かってしまうからです。予防処置
が万全であれば、このような事は発生しません。

1112.png

<事例研究1>
製造工場の現場監督者の方から以下のような4M管理に関する質問を頂きました。

質問:小型家電製品のOEM工場で、ラインの班長をしています。管理者は品質
上の課題を解決する際に、原因を4M視点で見ますが、品質の作りこみにおいて、
解決しなければならない課題を作業者にされることに、疑問を持っています。
作業手順の間違いや不慣れな作業の場合は、原因が作業者となることは分かります
が、挿入間違いを起こしやすいコネクターへの改善を、作業者に対して注意しろと
指導するのでは、本質的な改善ではありません。設計変更によって間違いが起き
ない仕様変更を実施すべきです。
4M視点から人は排除して、部門間連携を通して仕事の仕組みや設計で、品質
問題を解決することが重要と思います。4M視点の考え方について、専門家の
ご意見をお願いします。

回答:製造部門の大事な役割の一つは、4M変化点管理の仕組みを構築して運用
することです。設計は、完ぺきではありませんから、製造部門で設計改善する
までの間不良を作り込まないように管理する必要があります。
またそのほかにも日常様々な変動要因が発生するので、変動に対して影響を受け
ない管理を行う必要もあります。現場の管理者は、これらに対応するための日常
管理の仕組みをつくり、運用し、作業者に守るよう徹底させなければなりません。
作業ミスは、作業者の責任ではなく、作業管理を行っている現場の管理者の責任
と考えるべきです。
4M変動に適応する日常管理のポイントは「重点管理」と「先手管理」です。
重点管理とは、ご質問にあるような「間違いやすい作業」に代表されるように、
特に注意して管理すべき項目を事前にリストアップし、管理のレベルを上げます。
例えば、検査治具の使用、チェックシートに基づく再検査を行うなどの特別対策
を講じます。
先手管理とは、作業者がヒヤリ・ハット体験を報告し、不良発生に至らないまで
も、異常現象を見つけて、対策する仕組みを作る、また作業工程ごとにヒューマン
エラー発生を予測し、ミス防止対策を講ずる「ヒューマンエラー予防評価」を
行うこと、などを指します。
それでもミスが流出したら、作業者を責めるのではなく、「なぜ防げなかった
のか?」日常管理の仕組みの不備・欠陥を洗い出して改善策を講じます。これ
も、作業者が行うのではなく現場の管理者が行うべき仕事です。
他部門や上層部のすべきことを考える前にまず、班長として行うべき仕事は
何か?また何ができるかをよく考えて、実行してみてください。その上で、
班長の権限内で解決できない事項が発生したら、建設的提案を行うように
します。

5.4Mの要因を規定する工程設計
工程設計とは、ものづくりを始める前に、その工程順に、5M要因の管理項目
点検項目を細かく定め、その結果、特性値として得られる寸法重量などの測定
方法、検査方法を規定することを言います。設計の結果として得られるドキュ
メントがQC工程表です。

① QC工程表の目的
QC工程表は、モノの作り方、流し方を決めるもので工程順にどの要因を、どの
ように管理すればどのような特性が得られるのかの関係を示したもので、「モノ
の作り込み」を行うために作成します。

特性要因図と同じ考え方で、管理項目を漏れなく列挙し、QC工程表にその内容
を記載します。その時、管理項目と共に、ポカミス防止などの予防策を網羅しな
ければなりません。 

②QC工程表の作成方法、内容
QC工程表のフォーマットの基本的な構成は以下の図の通りです。

QC工程.jpg
ここで気を付けなければならないのは、
 ・どのような作業方法(作業手順書)で
 ・どのような設備、治具、測定機を使って(具体的な型式を入れる)
 ・どのような材料を
 ・どのような資格を持った作業者が作業を行うか
が、具体的に記されていなければならないということです。

そして、その結果得られた製品の特性を
 ・具体的名特性値(寸法、重量)を
 ・どのような測定方法で
 ・どの測定機を使って確認するのか
 ・どのように記録するか
を記載します。

③4M変更管理におけるQC工程表の位置づけ
4M変更管理において、QC工程表は以下のように管理を行います。
a.設計変更、工程変更時
 まずQC工程表を変更して内容の確認を行ってから作業に入ります。
 緊急時には、暫定的な臨時作業指示書を使う場合もありますが、必ず変更
 内容は、QC工程表にフィードバックを掛けます。

b.突発的な事情で工程を変更する場合
 工程の異常を発見した場合、工程能力が不足している場合などで、工程の
 管理手順、設定値などの変更が必要な場合は、まずそれが、QC工程表通り
 に作業が行われたかどうかを判断します。もし行われていなかったらQC工程
 表通りに作業を行うように修正します。
 もし、QC工程表通りに作業を行っても、期待する特性値が得られない場合は、
 QC工程表の要因の管理項目の不備の見直しを行います。
 まずQC工程表を基本とし、指示通りの作業を行い、それが間違っている、また
 ヒューマンエラーなどのミスが発生する場合は、QC工程表を見直し改善を繰り
 返していきます。

(第二章 4M変更管理の体系化へ続く)

4M管理(Man/Machine/Method/Material)管理の体系的管理手順(長編コラム②)

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第二章 4M変更管理の体系化
1.概要
4M変更管理を体系的に捉えた全容を下図にしまします。
管理の要素は①〜⑦となります。
 ①4M変更管理対象の定義
 ②設計変更・工程変更管理
 ③初期流動管理
 ④日常(変更)管理
 ⑤日常(変動)管理
 ⑥重点要因(5M)・重点特性(QCD)の監視
 ⑦異常処理手順

管理のサイクルは、
(P)計画・・・管理の対象の定義づけとランク付け
(D)実行・・・設計変更・工程変更管理/初期流動管理/日常変更管理
(C)チェック・・・重要要因、重要特性の監視と異常検出
(A)アクション・・・異常処理手順による対処
となります。

間違いなく的確実行するための重要なポイントは、それぞれの手順の5W1Hを
明確にすることです。どこの部署が責任を持って判断し、実行するかをはっきり
と決めておかないと、確実でスピーディーな対応ができません。

4M変更管理では、事前に組織や責任者の明確化と各責任と権限を決めておかな
ければなりません。また、顧客に対して報告が必要かどうかのガイドラインを
決めておき、個別の事象ごとに設計部門、品質保証部門が中心となって協議し、
最終的には品質保保証部門が決定します。

以上の手順を、あらかじめルール化して運用します。
では、詳しく手順を説明します。

2. 4M変更管理対象の定義
まず、4M変更管理の対象となる製品やイベント、5Mの条件を抽出します。
a.新規品
 ・新製品・・・新しい要素技術、新しい開発要素を含む製品
 ・新用途・・・基本技術は同じで、今までにない用途の製品

b.変更品
 ・仕様変更・・・お客様の仕様に関わる内容の変更要求
 ・設計変更・・・社内事情による、寸法、材質、物性など設計仕様の変更
 ・工程変更・・・設備の新設・増設・改造、加工法、製法、購入先、外注の変更

c.その他
 ・生産再開品・・・長期間生産を行っていない製品の再開品
 ・重要品質問題発生品・・・品質問題対策品の生産頭出品
 ・段取り替え品・・・段取り替え直後の製品
 ・人の交替・・・スキルを要する工程の人の交替直後の製品
 ・設備トラブル修正後・・・設備等の修復直後の製品
 ・トラブル発生時・・・突発トラブル発生時の製品

3.変化点の洗い出しとランク付け
品質に影響を与える変化点を洗い出します。
管理する範囲は、最終的には工場全体が対象となりますが、まずは範囲を限定
して、モデル工程として試行し、順次その範囲を広げていく方法も取られます。
項目としては、4M(人、設備、材料、方法)+計測(Measurement)に関係
するものを以下の観点で抽出します。
 (1)顧客の要求項目で承認を必要とする変化点
 (2) 過去に発生した製造問題(市場クレーム、工程内不良)の解析結果
 (3) ヒヤリ・ハット問題(不良予備軍)の解析結果
 (4) 他社事例の解析結果
 (5) 工程内観察結果

次に、項目ごとにランク付けを行います。
ランク付けの基準は、重要製品、重要顧客、新規度などを総合的に判断し、例え
ば、Aランク、Bランク、Cランクの三段階に分けます。 品質管理においては
このように、重点指向の考え方で、一律管理ではなく、重要度、優先度に応じて
管理の方法を変えることが重要です。  
ランクA・・・品質に重大な影響を及ぼす4M変更
 品質保証部門が、変更内容の妥当性を確認・承認、客先に報告
 (部品材料変更、大幅な設備、手順の変更、生産場所変更等)

ランクB・・・品質に影響を及ぼす4M変更
 品質保証部門が、変更内容の妥当性確認し承認
 (軽微な設計変更、工程変更、検査方法変更)

ランクC・・・日常的に発生する工程の変更、または変化
 発生部署が管理、結果を記録し、品質保証部門が確認
 (作業者、治工具の変更、設備の修理、メンテナンス、校正)

(注意)
 ここで、注意すべきは、あれもこれも必要だからといって、管理項目をどんどん
増やしてはいけません。目的は、管理項目を増やす事ではなく、変化点ができる
だけ発生しないように、工程を改善することです。管理項目を少なくして、管理
工数をできるだけ省いていくように改善を実施していくことが重要です。
(重点管理)

4.日常変更管理
4M変更管理の柱である日常変更管理の手順について解説します。
(1)管理の対象 
まず、日常業務における変更管理は、以下の内容となります。
●計画的な変更
 人・・・ローテーション、休暇対応、生産に応じて増員対応、残業
 機械・設備・・・修理、改造、段取り替え、点検、機械代替、治工具変更
 材料・部品・・・刃物変更、油脂類変更、副資材変更、使用材料変更
 作業方法・・・手順変更、工法変更、サイクルタイム変更、ライン変更
●突発的または、徐々に変化するもの
 人・・・一時離籍、突発休暇、休日出勤・勤務シフト変更
 機械・設備・・・故障、破損
 材料・部品・・・モノ違い、寸法不良等
 作業方法・・・ルール不遵守、追加加工、全数手直し、修理、選別
 その他・・・地震、台風、水害、火災、事故、停電、その他災害

(2)変化点の把握と対処
これらの変化に対応するためには、変化点の内容、変化の発生した製品の範囲
(ロット・生産数量)、を明確にすること、管理者および関係部署への連絡、
連携などの措置対策ルールを決めておく必要があります。
そのためには、変化点管理項目一覧表を作成し、変化点情報の把握と、変更管理
の実施内容を決めておきます。

機種ごとの重要要因、重要特性を決めて、現状の把握と目標とのかい離を毎日
確認します。その中で、異常・ばらつきを発見し、その変動要因を調査します。

突発的、または徐々に変化する場合の変化点の把握と対応についても
 変化点の把握・・・管理図・推移グラフでの異常/日常点検での異常/いつも
          と違う
 対応方法・・・変化点発生の範囲を把握する/関連部署への連絡/処置・対策  
などの内容について、手順化し周知徹底を図ります。 

(3)日常管理の注意点
4Mの変化が発生するとヒューマン・エラー(ポカミス)が多く発生する。
そこでポカミスの発生しやすい作業、ルール不順守が起きやすい作業を重点点検
します。
①チョコ亭、設備トラブル
 ・故障復帰後、品質変化が起こる
 ・手直しミス、作業飛ばしが起きやすい
 ・作業性維持のためやってはいけない事をする(アラーム動作停止など)
②品質・安全確保装置の管理
 ・検査設備、自動停止・ポカヨケ機構の点検
 ・異常や停止のまま放置がないか?
③やりにくい作業
 ・やりにくい作業は出来栄えのばらつきが大きい
 ・不自然な姿勢、自己流作業の有無
 ・治具、補助具が正しく使われているか
④断続作業
 ・作業中断、再開時に不具合、作業ミスが発生しやすい
⑤小ロット、マイナー作業、お久しぶり作業

(4)ヒューマンエラーの要因図


「スキル不足」「過失」に対する再教育、ポカヨケだけでは、もぐらたたきの
対策で終わってしまいます。近年、組織・システムのガバナンスに起因する
様々なトラブル(人的ミス)が指摘されています。①〜③の要因別に原因究明
することによって、管理ルールの不備を指摘し、再発防止策を講じていくこと
が必要です。



(5) 変化点の見える化
変化点管理ボードを設置し、変化点の見える化により、変化点情報の全員への
徹底を図ります。変化点管理ボードで表示する目的および内容は、以下の通り
です。
①良い製品を作るための条件(5M重要プロセス)
 ・変化点管理項目一覧表の貼り付け
 ・4M条件の掲示
 ・人員配置
 ・工程(ライン構成)
 ・変化点発生場所と概要の明示
②良い製品であることの確認(重要特性)
 ・品質特性確認
 ・特性検査
 ・工程能力
 ・サンプル保管
 ・不具合の有無確認、前後の比較結果

変化点管理ボード例を次ページに示します。



見える化とは、職場の全員が、目で見て仕事の進み具合が正常か異常かの判断
素早くできて、次のアクションにつなげていくために行うものです。見える
化はそのためのツールの一つです。次のアクションにつながらなければ、見え
る化の意味がありません。



(注意)
変化点の管理は、不良品ができる前に、事前に異常な状況を取り除き、不良
発生、流出を未然に防ぐことが目的です。とかく、管理することに目が行き、
管理そのものが目的化してしまうので、注意が必要です。





<事例研究2>
質問:一つ教えていただきたいのですが、4M変動管理の中で、どこかで変化点
が発生した場合には デ-タ取りをすると思うのですが、従来との比較を行いたい
時、最低いくつ位のデ-タを取る必要があるのでしょうか?
ご面倒ですがよろしくお願いします。

回答: 変化点の発生時についてのお尋ねですが、例えば量産工場において製品
の品質の変化を「変化点」と捉える場合を想定します。
品質の変化とは、
 ・ある形状の加工寸法
 ・製品の重量
 ・成分の含有量(割合)

などの、品質の特性値を計数値、計量値を製造単位(ロット)ごとに計測します。
その値をX-R管理図などに記録し、変化点が発生していないかどうかを判断します。
管理図の作成と判定方法を、巻末の参考資料にて解説します。



1回のサンプル数は、この添付の例では5個ですが、数量は多い方が誤差は少なく
なりますので、事情の許す限り多くとった方が良いと思います。
(20個以上が望ましい)

どのような変化点をどのような目的で捉えようとされているかによって、サン
プル数や管理図の作成方法も各社様々な工夫をされていると思います。

また、設計変更、設備変更などあらかじめ変化点が分かっている場合はその
前後の計数値を監視し品質に異常が発生していないかどうかを判定するため
に使用します。

(6)評価とフィードバック
日常業務管理の中で、変化点の記録や、異常処置などの管理がうまくいった点
まずかった点、異常値を頻繁に起こす管理項目、逆に、ほとんど異常値を示さ
ない管理項目の分類を行い、4M変動管理システムがうまく回っているのか
どうかを評価します。

関係部門を集めて、半年、ないしは1年の周期で記録・データーを持ち寄って
レビューを行います。
レビューによる評価結果に基づいて4M変動管理全体の改善を実施します。

これは一年間運用し、その結果改善が必要な項目を抽出し対策案を準備し、
次年度から、改善を実施するというように、継続して管理システムを見直し
ていくことで、より効率の良い管理方法に改善されていきます。



5.設計変更・工程変更の管理
設計変更や工程変更は、基本的にその変化点が発生する時期があらかじめ分か
っているので、計画的に変更作業が実施可能です。
下のフォーマットは、設計変更通知の例です。

この通知によって、5WIHを明確にして、関係部門に速やかに指示を出します。
変更によって、顧客に影響を与えるものは、事前に「4Ⅿ変更申請書」を提出し
承認を得ます。フォーマットの形式はフリーですが、左の枠外に、目的、担当
職場、実施時期など、を漏れなく記入するように注意書きがあります。
変更指示の内容を、この通知で関連者にもれなく情報提供が可能になります。


(1)設計変更の手順
設計変更を行う場合、変更の起案元(設計部門)、品質保証部門および関係部門
で審査会を開催し、変更内容の検討を行います。
必要に応じて信頼性評価などを実施し、現状品と比較して品質・信頼性に差が
無いことを厳密にチェックします。重要な変更については品質保証責任者が
最終的に承認するシステムとします。

また、すでに品質・信頼性に対して影響が無いことが判った変更内容については
起案部門で判断できるようにし、合理的に変更できるようにしています。
お客様へは、品質・信頼性、電気的、機械的特性、外形寸法、外観、使い勝手に
関わる内容について事前に変更連絡を行います。

顧客に提出が必要な4M変更の項目は以下の通りです。
 ・機能上の変更がある場合(操作方法の変更、性能の変更、機能の追加削除)
 ・外観上の変更がある場合(外形、色、重量、材質変更など)
 ・製造方法を大幅に変えた場合(外注先変更、工法変更、部品、材料変更)
 ・顧客の要求がある項目
 ・その他、顧客に事前に報告が必要と判断した変更項目

顧客に4M変更申請書を提出するかしないかの判断は、(製品、工程)設計部門
品質保証部門が協議し、最終決定は品質保証部門が行います。

(2)工程変更の手順
設計変更の適用決定後、工場部門では、以下の手順により、設計変更の内容に
従って工程変更を行います。

①作業前の事前準備確認
 ・工程変更計画書作成
 ・工程変更申請書提出(客先)
②工程の変更
 ・QC工程表の変更
 ・作業指示書の変更
 ・設備、治工具、測定機の確認
 ・作業者への変更内容説明、作業方法の教育・訓練
 ・工程変更事前監査(チェックシートによる)
 ・過去のトラブルを反映させる(過去トラブルの再発防止)
③変更の適用、実施
 ・変更適用のロットは、「初期品」として品質監視対象とする(初期流動管理)
 ・初期品は影響を受ける特性を重点監視する
  (寸法、精度、機能特性等の記録)
 ・品質保証部門は、監視記録データーの問題有無を判定する
④結果の検証
 ・品質保証部門は、工程変更監査を実施
  (変更指示どおりの工程作業が行われているか)
 ・問題がなければ初期品監視を解除する

(3)参考書式フォーマット



6.新製品立ち上げ管理
(1)新製品の量産製造を立ち上げ手順
一般的に以下の手順で実施する。但し、製品の新規度、規模によって必要
 な手順を検討する。
 ①生産方式の決定・・・工程・工順/内外作/作業標準/設備・治工具
 ②技術試作・・・設計部門、顧客側主体で実施、品質保証部門が認定申請
 ③量産試作・・・設計上、製造上の問題点の洗い出しと対策実施、図面修正
 ④信頼性評価・・・環境・寿命試験等実機評価、工程FMEA実施
 ⑤認定・・・品質保証部門が認定申請、認定後量産移行が可能となる

(2)初期流動管理
初期流動管理とは、変更後のあらゆるトラブルに対して迅速に対策を講じ、
変更後の品質の低下、原価アップを招かない様、関連部門が総力で取り組む
ことを言います。初期流動管理の実施手順は、
 ① プロジェクト・チームを編成する
 これは、通常担当している組織だけでは、突発的なトラブルや社内横断的な
 問題点を機動的に解決できないため、QCDを総合的に管理するプロジェクト
 を結成する

 ② 初期流動管理の期間を明確にする
 初期流動管理の発動はいつで完了はいつか?をスケジュールを立てること、
 また完了の条件として、不良率、作業効率、歩留りなど目標値を設定し明確
 にする

 ③ 重要要因、重要特性の管理
 重要要因として、5Mの管理手順、管理点を明確にし(QC工程図)実績を
 記録する。同時に重要特性(QCD)の推移を記録し異常発生の有無を監視
 する


7.統計的解析手法による変化点の捉え方
(1)層別とサンプリング
層別とはデーターを要因毎に分けることで、一見関連性がないデータでも、
層別を行うと関連性が出てきます。層別の方法は以下の種類があげられます。
 ①5M1Eごとに行う
 (作業者、機械・設備、原料・材料、作業方法、環境、時間) 
 ②ヒストグラムで層別を行う

製造工程で2台の機械を使用していた場合全てのデータでヒストグラムを作成
すると二山型になる場合がある。二山型のヒストグラムでは工程能力指数が
悪い場合が多く、改善対策の検討が困難。
そこで、データを機械別に分け層別したヒストグラムを作成すると、問題点が
明確になる。
 ③散布図で層別を行う
 製造工程で2銘柄の原料を使用していた場合、全てのデータで散布図を作成
 すると相関係数や寄与率が低くなる。相関係数や寄与率が低い場合は因果
 関係が明確でなく、改善対策の検討が困難。
 そこで、データを要因別に分け層別した散布図を作成すると、因果関係が
 明確になります。

 散布図と、特性と要因の関係をX-Y二次元図で表し把握する
 相関係数とは、2つの値の関連性を調べる目安となる値のこと。-1.0~1.0
 の範囲に値を取り、絶対値が1に近いほど関連性が強く、0に近いほど関連性
 が弱いとされる。
 正の相関では相関係数が1に近く、負の相関では、相関係数が-1に近い値に
 なる。無相関では0に近くなる。

(2)ばらつきとは
ばらつきとは、JISZ1108:測定値・測定結果の大きさがそろっていること
または不揃いの程度。ばらつきの程度を表すには、標準偏差などを使います。 
5Mの条件の変化によって、品質特性が変化する場合のばらつきの管理はどの
ように行うかは、以下の日常的な管理が必要となります。
 ・機械の精度を維持する技術(加工条件・方法・点検・環境)
 ・材料の特性を考慮した加工方法
 ・測定機、測定方法、測定者のばらつき管理
 ・日常の管理で、ばらつきの異常を早期に発見する仕組みが必要!

<事例1 問題>
ドリルの寿命について、MCで加工をするのに、ある程度数値的に工具寿命を
判断したいのですが?いい方法あればおしえてください。径・時間・切削長等
いろんな観点からから決定したいのですが?

<回答>
①私はだいたいですが2ヶ月に一回の割合で全ての工具に対して交換をしてい
ます。それと使用程度に応じて交換するかしないかを決めています。ドリルの
場合は、リーマを通した後の、傷の具合を見て判断します。

②ドリルの切削長で判断するのが一番正確ではないでしょうか?
例えば、アルミは100m、鉄なら50mと、材質でおおよその工具寿命を決め
ます。自社で加工データーベースを作成してそれにより寿命を管理するのが
一番良いと思います。

③統計分析を使ってみてはどうでしょうか?
寿命判定では条件を一定としてある程度の予測を立ててからやったほうがよい
思います。
タグチメゾットや仮説検定等の手法を取り入れるとより数値的に判断・予測が
つきやすくなります。たくさんテストカットすると時間とお金がかかるので
統計手法で予測をしてからやるのも一つの手だと思います。


<事例2 問題>
高周波焼入れを依頼したところ以下の回答がありました。
・依頼者:HS95±3で焼入れをしたい。 部材Φ100×200L
・業者A:±3は無理。±10は欲しいががんばれば±5に入る。
・業者B:HS95なら狙いに対して0~5の誤差で出来る。
焼き入れの精度は一般的にどの程度ですか? 測定方法(HS、HV等)でも
誤差はありますか?

<回答>
焼き入れ硬度のばらつき要因
・測定誤差
・材質のばらつき
・高周波焼き入れ温度のばらつき
JIS規格では、材料の炭素量は±7%のばらつきを許容しています。材質の
ばらつきによってHS95の±5%以上ばらつきが出ます。肉厚の薄い部分や
角の部分などは早く冷えるためか硬く入ります。

測定誤差は、HVの場合、試験片を鏡面に研磨しておこなうので削り込む深さや
平面の出し方など、作業者の熟練度によって誤差が出やすいです。
HSについては跳ね返り高さより硬度を求める測定方法のため、試験片の表面の
よごれや、平面度に左右されるとおもいます。


(3)工程能力把握とばらつき管理
①分布について
母集団の分布(ばらつき)は、計数値、計量値などにより一定法則の数式に従い
ます。
・計量値・・・正規分布
・計数値・・・2項分布、ポアソン分布

正規分布は、計量値の基礎的な分布安定した製造工程からデータを取ると正規
分布に近くなる事が多い。統計的手法の中には、分布が正規分布を前提にして
いるものが多い。
工程能力指数Cp、Cpkの算出にも、正規分布が用いられる。

2項分布は、良品と不良品が一定比率で存在する母集団からサンプリングした
時に得られる計数値の分布のこと。
ポアソン分布は、まれにしか起こらない現象の確率を示す。
安定した工程において、一定の大きさのサンプル中の欠点数はポアソン分布に
従う。

②ヒストグラムとは
ヒストグラム作成の目的は、ある特性値について、多くのデータを得た場合に
どのような分布をしているのか、その分布を知るために“ヒストグラム”を作成
します。
 ・これらのデータの代表する値は何か?
 ・これらのデータのバラツキはどれくらいなのか?
 ・規格値と照合すると、どれくらいの不良が含まれていそうか?
 ・分布の姿からみて、工程の管理状況は良好か否か?

③標準偏差とは
一般に,データをとってみると,集団としては本来同じと思われる場合でも,
個々の値は少しずつ異なるのが普通です。これらの現象をバラツキがあるとか
変動があると表現します。バラツキや変動を数値で表すには
 ・最大値と最小値の差をとって,範囲(R)とする簡単な方法
  (サンプル数が異なる場合や大きい場合には適さない)
 ・個々の値と平均値からのズレ(偏差)を計算し,偏差の2乗の総和を求め,
  データ数で割ったものを分散と定義し,この値のルート(平方根)を標準
  偏差として使用する

標準偏差は、データのバラツキ具合を表す指標として使われます。
データのバラツキ具合を表す指標としては、標準偏差のほかに分散も使われます。
標準偏差は、分散の平方根です。標準偏差のほうがデータと同じ視点で見ること
ができるので、わかりやすいといえるでしょう。標準偏差の数値が大きいとバラ
ツキが大きく、逆に小さいとバラツキが小さいと判断できます。

④工程能力とは
管理状態にある工程においてその工程の持つ品質達成能力を工程能力といいます。
「工程能力指数(Cp)」とは上記の工程能力を数値化したもので「ある特性に
おいて規格幅を6σで割った値」で定義されます。

工程能力の定義にある「管理された工程」とはその特性値が 正規分布している
ことを指し工程能力指数についてもそれが前提となります。
ここでいう「特性」とは例えば長さや重さあるいは抵抗値などをさします。もの
を作る際にはこれらの特性に対してある範囲に収まるようにします。
このある範囲を規格とよび、設計する人がこれを決めたり、あるいは 標準(JIS,
ISO等)で決まっている場合もあります。

⑤工程能力指数と不良率 
工程能力指数と不良率の関係について両側規格のCpを用いて説明します。
規格幅が±3σの時にCp=1.00となりますが、この場合の不良率は0.3%
となります。
  規格幅  Cp  良品率  不良率
  ±1σ   0.33  68.3%  31.7%
  ±2σ   0.67  95.4%  4.6%
  ±3σ   1.00  99.7%  0.3%

同様の方法で8σの時、Cp=8σ/6σ=1.3333…の時は、6.33*10-5 で約63ppm
となります。
規格幅が10σの時、Cp=10σ/6σ=1.6666…の時は、5.74*10-7 で約0.57ppm
となります。これは200万個ものを作って1個しか規格外れが発生しないという
きわめて優れた工程状態であるといえます。

●工程能力指数(Cp)はどのようなときに役立つか
Cpの値を使用するときは「規格の中心と平均値が同じとする」という条件が付き
ます。実際には規格の中心と平均値が同じでないケースの方がはるかに多いはず
です。Cpは、その工程の実力が規格幅に対してどの程度のものかを知ることが
できます。
例えばCp=1の工程は平均値が規格の中心にあるという理想の状態でさえ規格外
は、0.27%発生するのだから、 仮に目標が0.1%ならば工程のやり方そのもの
を変えない限り目標は達成されません。
なお現在の平均値の偏りを含めた工程の評価はCpkを用います。

●工程能力指数の評価
工程能力指数の評価について、両側規格のCpを用いて説明します。
  Cp=1.67 工程能力は、十分過ぎます。
  Cp=1.33 工程能力は、十分です。
  Cp=1.00 工程能力は、まずまずです。
  Cp=0.67 工程能力は、不足しています。

(4)管理図の作成
 ①管理図の分類
管理図は、一般的に、用いる統計量(データ)のタイプや用途などによって
分類されます。

●統計量のタイプによる分類
 長さや重さなどの連続した値(データ)を扱う場合の計量値(連続型)の
 管理図、不良品の個数などのように、飛び飛びの値(データ)を扱う場合の
 計数値(離散型)の管理図

●用途別では、
 工程解析や現状把握などの目的で使用される解析用管理図
 異常値の検出のために作成される管理用管理図

計量値の管理図といっても、群間での変動を比較する場合と群内の変動を比較
する場合では当然ながら取り扱う統計量が異なってきます。また、同じ群間を比較
する場合でも平均で見るかメディアン(中央値)で見るのかで異なります。

 計量値(連続型)の管理図には、X-R管理図、x管理図、R管理図などがあります。
 計数値(離散型)には、P管理図、Pn管理図、U管理図、C管理図などがあります。

②X-R管理図
X-R管理図は、平均値Xと範囲(R)のデータを併せた管理図です。
平均値(X)は、群(同一組)内での 平均値を表し、範囲(R)は、各群内での
範囲を表わします。
 X管理図(X Chart)は、群ごとの平均値を打点し、群間(日別)の変化(変動)
  を見る
 R管理図(R Chart)は、群ごとに範囲(R)を打点し、群内(日内)のバラツキ
  の変化(変動)を見る

この2つの管理図を一対にして、「X-R管理図」といいます。
管理する品質特性は、寸法(長さなど)、トルク、重量、時間、抗張力(引っ
張り強さ)、硬度、純度、電流値や電気抵抗などのように量(計量値)


③P管理図/不良率管理図(Fraction Defective Chart)
不良率(P)を用いる管理図で、品物の良/不良だけで判定し、不良個数(Pn)
を検査個数(n)で割った不良率(P)で工程を管理します。サンプル数は一定で
使用例としては、組立不良などです。

④C管理図/欠点数管理図(Defect Chart)
各ロットに含まれる欠点(要求に合わない個々の欠陥)数(C)を打点して管理
する場合の管理図です。欠点を見いだす範囲が一定(一定の長さ、面積、量)
である場合だけに使用が可能、使用例としては、同じ機種のプリント基板上の
修正箇所の数などがあります。

⑤管理図の構成
管理図には、工程を安定した状態に保つために、上方と下方に管理限界
(Control Limit Lines)を設定、管理状態が管理限界内にあり安定しているか、
その外側に出て異常な状態にあるかを見分けます。
 ・中心線(CL:Center Line)を実線で記入
 ・上方管理限界線(UCL:Upper Control Limit)
 ・下方管理限界線(LCL:Lower Control Limit)を点線で記入

中心線(CL)は、その特性の平均水準を示し、2つの管理限界線(UCL、LCL)
は、アクションの限界を示します。打点が管理限界内にあれば、工程は管理状態
にあるが、打点が管理限界外に出たときは、工程に異常があるとみて適切な処置
を行う必要があります。

⑥管理限界の設定方法
管理限界は、問題のある作業の是正処置をするための経済的指針として用います。
管理限界線を設定する際は、3σ法の統計的な計算の結果をそのまま適用するだけ
でなく、経済的品質水準や技術的判断などによる望ましい管理限界の要求を加味
します。
 幅が狭い場合・・・存在しない故障や不良を探し出そうとするムダな労力
         (第1種の過誤)
 幅が広い場合・・・実在する故障や不良を見逃すこと(第2種の過誤)による
          損失

3σ法は、最も基本的で多用される管理限界の設定方法で、標準偏差の3倍の
位置に管理限界を設定します。3σ管理図では、第1種の過誤を犯す確率は、通
常0.3%程度となります。バラツキの分布が、正規分布(Normal distribution)
であれば、99.7%はこの管理限界の中に入るという意味です。

●安定した工程とは何か
生産した製品や部品のバラツキの幅が、あらかじめ規格値の範囲内にあれば
「管理状態にある」 「安定状態である」といえます。

●5Mの安定
製品や部品を生産する過程で品質に影響を及ぼすものは、「5つの要素」から
構成されています。これら5つの要素の品質のばらつき具合が総合されて製品全体
の品質が決定付けられます。

「生産の5M」が安定していれば、製造する製品や部品のバラツキは、いつも
ほとんど同じバラツキ方を示します。しかし実際には、5Mの状態が常に同じで
あるということはありません。もし、工程に何らかの異常があれば、バラツキ
の形が管理状態にあった場合とは異なって来ます。

(5)管理図による異常検出
①正常な点の動きの性質
正常な点の動き(“偶然原因”の範囲内で点がばらつく)
(a)打点された点の動きに特別な規則性や特徴が認められない。
(b)多くの点が中心線(CL)の近くにある。
(c)少数の点が管理限界線(LCL、UCL)の近くに散らばっている。
(d)管理限界線(±3σ)を超える点がない

②異常な点の動きの性質
(a)点が広くばらつく。中心線の両側にバランスがとれていない。
(b)点があまり広くばらついていなくても、「(1)正常な点の動きの性質」
   の1つでも欠けているときは、常に異常な点の動きといえる。

③「連」による管理状態の見方
管理図上の点が、中心線(CL)に対して、一方の側に連続して現れた場合、点が
中心線の上側にあり、次の点が同じく中心線の上側にきたときを“長さ1の連”と
言います。連は基準を決めて、異常発生の兆候に対して対処します。
 •長さが5の連では、“要注意!”として監視を強化する。
 •長さが6の連では、アクションの準備を整えて兆候の監視を継続する。
 •長さが7の連では、原因究明と対策のアクションを起こす。

連と点が中心線の一方に片寄るとき、連の長さが“7”未満でも、CLの一方の側に
点が続けて出現するような場合は異常
 •連続する11点中、少なくとも10点が一方の側に出現している。
 •連続する14点中、少なくとも12点が一方の側に出現している。
 •連続する17点中、少なくとも14点が一方の側に出現している。
 •連続する20点中、少なくとも16点が一方の側に出現している。

点が上昇傾向または下降傾向にあるとき
 •長さが5の連では、これからの点の傾向に注意が必要である。
 •長さが6の連では、アクションの準備を整えておくこと。
 •長さが7の連では、原因究明と対策などのアクションを行う。

点が傾向を持つとき
 ●長さの長い上昇(または下降)の傾向があるときは、連も同時に出現して
  きます。
 ●連の長さは短くても長さが7の傾向が現れたときは、工程は管理状態に
  ないと判断します。


FMEA手法を実務で使えるようにするには?: FMEA(DRBFM)/FTA/リスクアセスメント事例

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FMEA(故障モードとその影響の解析)は、製品設計段階と、工程の設計段階

で実施されます。理論の理解は大切ですが、実務で使えなければ意味があり

ません。

FMEA簡易法実施手順1〜3で、実務で使えるFMEAとは何かを解説します。


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FMEA作成の前段階で理解が欠かせないのは以下の項目です。

以下の5項目について、すらすら説明できないなら、正しくFMEAを理解して

いるとは言えません。

 ①不良と故障、故障モードの違い

 ②工程FMEAで解析する工程の故障モードの定義

 ③ソフトウエアを含むシステム(ユニット)の故障モードの定義

 ④ボトムアップ型設計の意味(通常の設計プロセスはトップダウン型)

 ⑤セルフFMEAとFMEAレビューの目的の違い 


FMEA導入のステップ1~5」の解説の理解を前提とした上で

一番分かり易くて正しいFMEAフォーマットを差し上げます。(下段)


1.FMEAとは

FMEA.jpg

FMEAとは、「市場で発生し得る故障や事故をすべて想定しそのリスクを

検証するためのツール」」のことです。

自動車は、安全上の欠陥が問題となって、リコールを実施します。これは、

安全性・信頼性設計が不備であるために、市場で故障や事故が起きるのです。

最悪は人がけがをしたり生命にかかわる事故も発生します。


このような事を防ぐために、安全性・信頼性設計をしっかりやり、市場で故障

や事故を防ぐ対策を実施し、そのあとFMEAを実施するのです。

以下に、よく見かけるFMEA手順とその問題点を列挙します。


(1)要員の選定・招集

FMEAを実施するために4人から6人のその場限りのFMEA班を組織する。要員は様々

な分野から選抜し、また対象の製品(または工程)に対する理解度も様々であるこ

とがよいとされる。

但し、メンバーはそれぞれの技術のプロでなければならない。

自動車メーカーでは、十分な人数のメンバーを確保して時間を掛けて実施可能

だが、小規模な設計チームでは、実質的に不可能に近い。


(2)システムの構造・機能の把握

本来、ある機能を実現する為に製品が設計されるのであるから、設計段階ですで

にシステムの構造・機能の設計は完了しているはずである。


ただ、必ずしも設計した当人だけでFMEAを行うわけではないため、図面やフロー

チャートなどの設計資料や製品のプロトタイプ、工程をチーム全員で検分し、

FMEAの対象(製品・工程)について共通の正しい理解をメンバーに持ってもらう。


やはり中小企業にとっては(1)と同様に、メンバー数や時間に限りがあるため

理解が不十分のままメンバーに加わることになる。

また、故障モードを列挙し、その影響を評価するわけであるから、機能や

構造を理解しただけでは、故障モードを漏れなく洗い出す作業は容易い作業

ではない。


(3)対象部位の選定

例えば自動車を考えてみれば、製品や工程全体に対して一度にFMEAを行うことは

現実的ではない。適当な単位に分割し、複数の班で同時に行うか、ひとつの班が

何回かに分けてFMEAを行う。FMEA実施中の脱線を防ぐために、それぞれのFMEA

の対象は明確に、具体的に決める必要がある。


自動車のように何万点もの部品やユニットで構成される製品は、1社だけで設計

することはあり得ない。また部品メーカーは故障モードはリストアップできても

その故障モードによって完成品に影響する故障や事故は把握できない。

完成品メーカーから二次、三次下請けの部品メーカーまで含めたFMEAの実施は

困難を極めることになる。


(4)要求される機能の記述

故障モードがまずあり、その故障モードが機能に及ぼす影響を検討するのがFMEA

であるから、本来、FMEAの最初に機能を検討する必要はない。ただ、故障モード

を列挙する際、ある故障に対してそれを引き起こす故障モードを考えることも成さ

れるので、要求される機能を明らかにしておく必要がある。


(5)故障モードの列挙

FMEAは故障モードを列挙することから始まる。基本的には故障モードは,典型的

なものを含む。例えば、ボルトは折れるかもしれないし、配管は詰まるかもしれ

ない。ただしこの時、その故障モードが実際に起こるかどうかは考えない。


次に、故障モードを列挙する際、設計した状態に潜在する故障モードのみを列挙

する。つまり、対象の製品は設計どおりの正しい部品を正しく組み立てたという

前提で考える。


また、工程FMEAを考えるときも設計は正しいという前提で故障モードを列挙する。

例えば、「寸法公差が不適切で部品同士が合わない場合がある」などというのは

設計上のミスであって、工程FMEAで考慮すべき故障モードではない。


故障モードの列挙は、各設計者が勝手に上げることは、時間が掛かり、漏れも

発生する。故障モード一覧表、あるいは故障モードを引き出すためのキーワード

集を準備することが現実的である。


故障モードは、部品の構造的破壊だけとは限らない。

ソフトウエアを含む組込み型の装置、ユニットの故障モードはどのように

考えたらいいだろうか?

その解を示している書籍、論文等はどこにも見当たらない。

(当研究所では、SEM構造の破壊と捉えることで論理的な説明が可能としている)


(6)故障モードの影響

故障モードを列挙した後、それぞれの故障モードについてその影響を考える。

もちろんひとつの故障モードが複数の影響をもたらすこともある。また、ある部品

を考えている場合でも、この部品の中で起こる故障モードの影響が、その部品を組

み込む装置で出ることも考慮しなければならない。


例えば自動車のエンジンの部品で、自動車のボディに取り付けるための部品が緩ん

だ、という故障モードの影響を考えるとする。エンジンという部品にはほとんどな

んの影響もないかもしれないが、エンジンが振動し自動車全体では大きな影響をも

たらすかもしれない。


故障モードの影響の評価はFMEAの結果に特に大きく影響するので、正しくまたは

漏れなく考えあげることが重要である。


それでは「影響」とは何を指しているだろうか?

リスクアセスメントの基準によると、市場において商品の故障により事故に発展

し、生命・財産にどの程度の被害を与えるかをランク付けしたものである。


(6)想定される故障モードの原因の記述

各故障モードごとに考えられる原因を記述する。

記述は簡単にするべきであるが、対策に直接結びつくように書く。例えば、磨耗と

いう故障モードの原因を考えるとき、「擦れる為」というのは原因とはいえるが、

FMEAの成果を有効に活用するためには「振動による○○との磨耗」のように書く。

このように書けば何を対象に対策するのか明確だからである。


(7)影響の厳しさ・頻度・検出可能性の評価

影響の厳しさ・頻度・検出可能性という3つの指標で各故障モードに点数をつけて

評価を行う。点数は1から10の10段階で行う例が多いが、4段階・5段階にすること

もある。それぞれの指標の点数は少ないほど好ましい評価である。(相対評価法)

評価は、現状の信頼性設計が十分かどうかの観点で行う。


「影響の厳しさ」という指標は故障モード発生した場合の被害の大きさである。

例えば、影響が全くない場合は1、人命に影響がある場合は10などとする。


「頻度」は故障モードの起こりやすさである。

これは過去の事例から類推する。事実上起こりえない場合1、故障モードが発生す

ることが常態になっている場合を10などとする。


「検出可能性」は、設計FMEAの場合は設計期間中に故障モードを発見できるかど

うかという指標である。例えば、あるボルトが折れるという故障モードを考えた

場合、各種の試験でこのボルトを折れているかどうか確認することになっておらず

さらに試験中に折れても全く分からないという場合、検出可能性は全くないことに

なる(10段階なら10点)。


なお、各指標の評価水準はあらかじめ決めておき、常にその評価水準を使用する。

顧客から評価水準をあらかじめ示される場合もある。例えば、アメリカの自動車会

社の場合、供給者はAIAGのFMEAマニュアルにある評価水準を使用するように求め

られる。


評価水準は、製品ごとにその用途、使われ方によって独自に決定する必要がある。

その根拠、市場に於ける顧客の反応、社会的な要求の程度で決まる。

近年、ネットから情報が拡散し、顧客の価値観が急速に変化する可能性があり

注意が必要である。


(8)危険優先指数(RPN)の計算と対策の要請

危険優先指数とは、上記の影響の厳しさ・頻度・検出可能性の3つの指標の評価点を

全て掛け合わせたものである。10段階で評価すれば、1000点が最高点となり、1点

が最低点である。


全ての故障モードに対して対策をすることができれば理想的ではあるが、全く実際

的ではない。RPNの高いものを選んで対策を担当部署に要請する。もちろん具体的

な対策案を示す場合もある。RPNが何点以上を対策の対象にするかということは

任意に決める(例えば200点以上、100点以上など)。


RPNで並べると、影響の厳しさが大変高くても、頻度や検出可能性が低い場合

優先度が低くなる。つまり、どんなに頻度が低くても、検出が容易だとしても、

絶対に起こるべきではないという種類の故障モードが見逃されてしまうことになる。

例えば、津波が500年に一度でも、一たび原発事故が起きれば、甚大な被害が

発生する。

これを、見逃さず指摘するのがリスクアセスメントにおける「リスク」という

指標である。


相対的な評価の問題点として

 ・評価が全部終わらないと対策を講ずべき対象が決まらず、設計業務が停滞する。


 ・ランクを決めても、どこまで対策を必要とするか判断の基準がなく、カンに頼

  る結果となる。その証拠に、対策必要基準をRPN=100とする説、80とする説、

  125とする説など諸説紛々で全く統一性がない。

  このことは、基準を決める根拠が不在であることを示す。


 ・ランクを決める考え方は、次のような誤った論拠に基づいている。すなわち、

 「FMEAは対策すべき対象を絞るために用いる。すべて対策を行うのなら採点は不

  要だから要因すべて対策を取れば良いわけでFMEAの登場場面はない。限られた

  リソース(時間資金など)の中で問題解決する最大の効果を得るには優先付け

  することが必要であり、FMEAはそのためのツールであるという。


  しかしセルフFMEAを用いた設計は、機能と同時に信頼性を確保しつつ行うので

  念のために行うFMEAレビューを実施しても少数の欠陥しか見つからないはず

  であり、そこで、信頼性設計が十分かどうかを検証すればいいのである。

  

  RPNを指標とする相対評価FMEAは、完全に論拠を失っている。


5.製造工程のFMEA

工程FMEAは、「作業及び管理のプロセス要素に着目して行うFMEA」である。

製造工程における故障発生の原因・仕組みを工程設計段階で追求し、工程の改善を行

うために工程管理部門が用いる。


設計FMEAと違うところはまず、準備するものが、QC工程図・作業手順書・設備仕様書

など、工程の理解に必要な書類になること、次に、故障モードの抽出の視点が製品そ

のものでなく、製品を製造するための物(例えば、人、材料、設備、方法、環境)に向

くことである。例えば、人の作業を必要とする工程では、ヒューマンエラーを考慮す

る必要がある。


工程FMEAにおける「故障モード」とは、製品FMEAの場合と同様に「システムの破壊

形式」すなわち、工程設計で決めたことに違反することである。

工程FMEAを実施する上でで多くの間違いは、故障モードではなく、不良現象を

リストアップして、不良対策を進めている点である。


FMEAは故障モード(工程の指示違反)を出発点として、予防処置が取られて

いるかどうかを評価しなければならない。

この場合、部品をつけなかった、正しい手順でつけなかったというような、その工程

で行うべきと決められていることに違反することが故障モードになる。結果として生

ずる不良やトラブルは「影響」であって故障モードとは言わない。


この違反が導く影響、頻度、潜在性を評価する点で、製品FMEAと変わりないが、唯一

異なる点は、潜在性の判断期間である。製品FMEAでは設計管理中に欠陥を見つけるこ

との困難性であるが、工程FMEAでは工程を実施している間も検知期間に含まれる。


世の中には、様々なFMEA解説があふれ、どれが正しいのか?と、疑問の声も

聞かれます。そして、実際にFMEAを実施しようとしても、行き詰ってしまい

体裁だけの作業となっています。


その混乱の理由は、冒頭で述べた①〜⑤について、間違った解釈をしているからです。


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FMEAとFTAの違いは何か?:FMEA(DRBFM)/FTA/リスクアセスメント事例

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品質、信頼性を確保するため、FMEA、FTAなどの信頼性解析ツールを使用します。

ただ、正しく理論を理解しないまま導入し、使用目的が間違っていたり、手順を

間違えるなど、せっかくのツールが生かされていない例が非常に多いのが現状

です。


FMEA手法は多くの情報がネット上でも公開されています。

しかしながら、設計プロセスの中での位置づけが不明確であったり、部品レベル

ユニットレベルでのFMEA実施手順、電子回路や、ソフト組込み機器のFMEA実施

手順について具体的に解説しているものはほとんどありません。


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FMEAFTA.jpg


FMEAは、故障モードを出発点として、製品・システムの想定外の故障、事故を

漏れなく洗い出し、対策を講ずるためのボトムアップの解析ツールです。

また、FTAは、望ましくない故障や事故をトップ事象に、中間事象、基本事象

と掘り下げ、発生確率を予測し対策するトップダウンの解析ツールです。


hikaku .jpg

それぞれのツールを単独に解説してもその特質をなかなか理解できないのですが

比較表を作成することによって、その違いが良く分かります。


その大きな違いは

①FTAは、故障、事故が既知の流用度が高い製品の解析に適しており

 FMEAは逆に、故障、事故の予測が難しい、新規性の高い製品の解析を

 行う抜け漏れ対策に適しています。


②FTAは事故や故障が発生した場合の解析のため、比較的受け入れやすい

 のですが、FMEAの故障モードを出発点として、どのような事故や故障

 が発生するか?逆の考え方をするため、その手順の間違いが非常に

 多いのが実情です。


③決定的な違いは、FTAは製品を熟知した製品設計担当の設計部門主体で行い

 FMEAは、部品やアッセンブリーの設計を担当する設計部門主体で行うのが

 良いと思われます。

 但し、製品設計部門でFTAを実施する場合は、部品やアッセンブリーを

 担当する部門や協力会社と共同で実施する必要があります。


 問題はFMEAの場合です。

 つまり、部品やアッセンブリーレベルを担当する部門あるいは協力会社は

 製品の使われ方や機能は情報が乏しく、ほとんど理解ができていないため、

 製品の故障、事故を洗い出せないのです。

 (故障モードを列挙しても、製品の事故や故障までは想定できない)

 ここに、FMEAの難しさがあります。


このような問題の指摘、解決方法は、一般の解説書やセミナーではだれも

教えてくれません。



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品質管理の基本0601.jpg

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未然予防の品質管理の基本は以下の3つです。
 ①モノを作る前に不具合が発生しないように対策を行うこと
 ②異常を早く見つけ、素早く対策すあること
 ③1人1人が、確実に作業し、正しいモノまたは正しい情報を確実に後工程へ
  渡すこと

そのためには、各段階でそれぞれ未然予防の品質管理手法を使います。
1.工程設計段階
・信頼性、安全性設計技術
 これは、各企業が持っているノウハウです。
 ポカヨケや自働化を組み込んだ信頼性の高い工程を設計します。(QC工程図)
 不具合が潜在しやすい特殊工程の管理項目、ヒューマンエラー防止を十分に
 考慮した工程を構築します。 

・工程FMEA、リスクアセスメント
 信頼性設計に漏れはないかどうか?仮に市場で不具合が発生したときに大きな
 リスクは生じないかをモノを作る前に検証します。
 問題があれば、QC工程図にフィードバックします。

 設計の考え方は、モノを作る前の「アセスメント」のやり方に変えていく必要が
 有ります。
 FMEA・FTA0719.jpg

2.生産工程
多品種少量生産では、小ロット、個別製品の工程設計は行わない場合が出てきます。
そこで、トラブル発生を防ぐために様々な対策を講じます。
ヒヤリハット対策・・・ミスを起こしそうになった、手順を間違えたなど原因を
  追及して、すぐ対策します。

異常検出と対策・・・設備の不調、チョコ停、加工バラツキなど放置せずにすぐに
  原因を追究して対策します。
  機械設備は、予防保全対策として定期的にメンテナンスを行います。

多能工化訓練・・・直接作業、準備作業、間接作業など基本作業をリストアップして
  教育訓練を行い、多能工化を図ります。

・自工程完結・・・多品種少量生産工場において何よりも大事なことは、自らの仕事は
  自ら間違いがないか確認して次の工程へ送ることです。(後工程はお客様
  指差し呼称、結果の見直しは確実に行う必要があります。


キーワード解説:製造業の品質管理の基本

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【キーワード:品質管理の基本】
 ★お客様第一主義【 ★品質管理活動【】【】【
 ★未然予防の品質管理【 ★信賞必罰【 ★報連相【
 ★多品種少量生産工場の品質管理の基本【】【】【】【
 ★工程管理(プロセス管理)【 ★自工程完結【】【】【
 ★日常管理のサイクル【】【】【 ★ルールを守る【】【
 ★検査【】【 ★標準化【】【 ★暗黙のルール【
 ★モグラたたき【 ★再発防止・水平展開【】【
 ★三現主義(現場、現物、現実)【 ★見える管理【
 ★プロ人材【 ★PDCA【
 ★5W1H【 ★認定/査定(アセスメント)【
 ★マネジメント3次元マトリクス【

キーワード解説:製造業の品質管理の基本

品質管理の考え方、方法は「流出防止」から「未然防止」に重点を移して
いかなければなりません。
それは、上流の設計工程(製造設計含む)で、品質を作り込むという考え方
であり、目的に合った手法を選択して正しい品質管理活動を実施する必要が
あります。
品質管理の基本.jpg

提案できるモノづくりに変身できるか?が問われます。製造業のマーケティング戦略

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1.製造業といえども、今や「ビジネスモデル」の転換の必要
一般的な製造業のビジネスでは、“製品そのものの競争力”をつけ、“マーケット
シェア”を追いかけることにより増収を図ってきました。

結果、多くの企業は価格競争という消耗戦に陥っています。そこで自社が攻める
べき新たな市場や顧客を見出していかなければ将来がないことになります。

個別顧客には必ず対応すべき課題があります。
顧客の懐に深く入り込むことにより、価格競争からの脱却をめざすべきなのです。
コト売り、すなわちソリューションビジネスでは、“課題解決力”を競争を勝ち抜く
要素としてクローズアップし、何よりもまず顧客を知ることが重要となります。

何やら難しい話になってしまいましたが、顧客が抱えている課題の仮説を立て、
顧客の潜在的な課題を聞き出すことからビジネスをスタートし、把握された課題
に対しての解決策(何がしかの顧客にとっての価値創造に応える策)を提示し、
顧客にその“解決策“を売ります。

これは、工場で作る部品の機能や品質をいくら向上させても、買い手側の購買
部長は何の興味も示しません。これでは、今までの製造業のビジネスのやり方と
何ら変わりがありません。

「自社で何が作れるのか」ではなく、「自社が購買部長の悩みをどうやったら
解決できるか」という具合に考え方を変えなければなりません。

そうすると、意外と簡単に答えが出るかもしれません。なぜなら当社は、購買
部長よりずっとその製品や業界の事情に詳しいのですから。

2.いくら儲かるか?より、いくら儲けさせるか?
いいものを安く作って売る。そのために、ものづくり現場を大事にして来ました。
作業員一人一人が工夫してより良いものを作ろうと努力して来ました。
今までの工場であれば、100人の作業員に対して管理者が数名というのが一般の
工場の組織人員構成でした。

いまはどうでしょうか?

工場を見渡すと、機械は動いていますが、作業員はまばら。難しい機械を動かす
専門スタッフやら、計測器を操作する検査員など、ところどころにいるだけ。

すっかり工場の様子が変わってしまいました。
昔は直間比率などの指標があって、なるべく間接員は減らしなさい。というのが
工場の姿でした。昔は、いくらでモノを作って、いくらで売るか?が問題だった
のですが、今はこのモノは、どうやったらお客様に買って貰えるのか?

お客様の困っていることは何だろう?という発想で、モノを作らなければならなく
なって来ました。

工場の現場重視から、お客様の現場重視へ視点が移ったのです。
経営者として、会社を継続させていくには、いくら儲かったのか?が一番の関心
ごとです。
でも、これは儲からないからやらない。このお客は、売り上げが少ないからお断り
する、と言った仕事のやり方はどうでしょうか。
「もっと売り上げが取れて儲かる仕事は無いのか?」
「ここと取引すれば、必ず儲かるはずだ」

このビジネスの進め方では、おそらくお客様の信用、信頼は得られないでしょう。
「もっとこうすれば、お客様の利益につながります。」
「このような方法だったら、無駄な経費が節約できます。」

といった発想にならなければ、お客様はいづれ去っていくでしょう。
提案できるモノづくりに変身できるか?が問われます。

B to Bビジネスの王道とは:製造業のマーケティング戦略

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これからの日本の競争力は、素材・部品などのBtoB企業にかかっていると思い
ますが、一般に中小企業では、素晴らしい技術力を持ってしても、利益に結び
つけるのが不得手です。

1.B to Bとは
世の中にはたくさんの会社があり、様々な事業や商取引(商売)を行っています。
会社の事業を大まかに分類しようとするときには、「取り引きする相手が誰か」
ということにより会社の種類を大別する方法があります。

取引先に注目して会社を分けた呼び方のひとつがBtoBで、Business to Business
の略です。企業(法人)を相手にして事業や商取引を行う会社のことを、BtoB企業
と呼びます。

取引先による呼び方には、他にもBtoC (Business to Consumer) 企業があり
これは一般消費者相手の事業を行う会社のことを言います。

受注生産を主体とする中小製造業はB to B企業ということになります。

2.B to B製造業のアプローチの仕方
BtoBマーケティングでは、「自社の商品・サービスをお使い頂くと、御社が
儲かる」ことを納得頂けるような「売り物」「売り方」を目指すことになります。

このことをお客様に説得するには、「自社を使えば、これこれ、こういうわけで
、御社が儲かりますよ」という証明・説明を行う必要があります。

その説明が具体的で、説得力が高いほどお客様に選ばれる確率が高くなります。
「自社を使えば御社が儲かる」の提案は、きわめて重要なことなのですが、
そんなに簡単ではありませんね。

自社の商品・サービスの売り上げを上げるには、お客様のビジネス全体を考える
必要があるのです。
これが、BtoBマーケティングの王道であり基本なのです。

3.いかに相手が儲かる提案ができるか?
その時、自社の商品説明から入ってはいけません。そうではなく、「御社が儲かる
提案です」と言って、どのように儲かるか、商品のQCDや用途事例を説明し、
最後に詳細な自社の設備や商品のスペックを説明します。

最初に設備や商品の説明から入っても、興味が沸かず、お客様の頭には入って
いきませんね。顧客企業も、「自分の商品の売り上げ・利益を上げたい」と
思っています。だから、「こうすればもっと御社の売り上げが上がります。
あるいは、費用が節減できます。」と提案できるようにすることが大事に
なります。

自社が提供するものが形あるモノであればQCDを、サービスであれば、コスト
削減に貢献できれば、お客様の利益改善に直結することになります。


ホームページでも、プレゼンテーションでも、展示会など、みな同じような
ものが並んでいるときは、商品の説明には興味は沸きません。
「自社を使えば御社が儲かります」と訴えかけてくるメッセージにのみ興味を
示すものです。

これからの日本の競争力は、素材・部品などのBtoB企業にかかっていると思い
ますが、一般に中小企業では、技術力を利益に結びつけるのが不得手です。

ウチを使えば、なぜ御社が儲かるのか?そのあたりを、じっくり考えてみる
必要がありそうです!

中小製造業の情報発信力を高めるには?製造業のマーケティング戦略

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今や、中小の製造業でもマーケティングの視点でものづくりを行わなければなら
ない時代となってきました。下請けから抜け出して、新規のお客様を獲得したい
と考える経営者の方も多いと思います。

1.お客様の細やかな要望を見逃さないこと
ホームページを開設したり、社長自らが営業のため外を飛び回り、自社をアピール
すると言った具合です。でもこのような活動を始めると、お客様の要望は多様で
「こういうものが欲しい」とか、「これを全部やってほしい」とか、自社の能力
をはるかに超えた内容も多くなってきます。

そもそも、今までは、下請けとして大手の企業から同じような部品の注文が来て
それをこなして工場は維持できたのですが、もうそんな時代ではなくなってしまい
ました。

多様な要望がある中、自社では、できないからと言って、それを全部断っていたら
どうなるでしょうか?

如何に優れた技術、ノウハウ持っていようとも、お客様に受け入れられる、売れる
製品、売れる技術となってこそ、売上増加受注の確保に結びつきます。

企業として生き残っていくためには、もはや現状の延長では難しいことを意味
します。

中小製造業は日常のなかで顧客の細やかな要望を聞き逃さないことが重要だと
思います。そしてただ、待っているのではなく、こちらから積極的に情報発信
提案営業を行っていくことも必要です。

そうした活動を通じて顧客企業との反復取引、取引拡大、新製品開発への参加も
期待できることになります。日常の地道な取引活動を通じて取引先からの信頼
評価を得ていることが新規顧客の紹介にもつながってきます。

顧客企業から与えられた仕事、改善テーマの処理、解決を通じて、自社の技術力
を高めていくという側面も見逃せません。同時に、それらを解決するために横の
つながり、つまり同業者異業種の企業との連携も必要になってくるでしょう。

2.ほとんどの企業は情報発信が足りない
現在は、企業自らが積極的に情報発信を行う時代です。良い商品やサービスを
持っているだけでは、誰もそれに気がつきませんし、もしかすると欲しがって
いる人が近くにいるのに、知らないだけなのかもしれません。

情報発信は、良い技術や商品・サービスを保有しているあなたの会社と、それ
を必要としている人が出会うきっかけを作る作業です。

でも情報発信が大切だと気がついても、実際に行動できる人が少ないのも事実
です。これは、大事だと思っていても方法がわからないという人は、どうしたら
いいでしょうか?

(1)何を発信するのか?
商品の場合、大きさ・重さ・価格と決められた事柄を記載しただけでは全然
不十分です。お客様が、その商品を手にした時のお客様のメリットを伝える
ように心がけます。

その場合買い手に対して、以下の内容が表現されているか?
 ・信頼感(技術・サービスの質、実績・・・)
 ・値ごろ感(安すぎない、高すぎない)
 ・ニッチ感(当社しか提供できないニッチ性)
 ・その他

(2)誰に発信するのか?
ターゲットのお客様をもう一歩踏み込んで考えてみます。
ここがあやふやだったり、間違っている場合がとても多いのではないでしょうか?
これが間違っていれば全ての作業は無駄になってしまいます。

この場合は、「何を発信」も含め、あれもこれもと、あらゆる要望に応えようと
して総花的な表現になってしまい、逆に何ができるのかポイントが不明確になっ
てしまいます。

そこで、上記の1項で述べた「お客様の細やかな要望にこのようにして応えた」
という事例を発信することが非常に有効となります。
そのメリットを充分に感じていただけた顧客の例を情報発信ができたのならば
その1社と同じ感覚を持っている企業はが数十~数百存在するのではないでしょ
うか。

何を、誰に?は、このような実績を基に、時間をかけて絞り込みを行なう必要が
あると思います。

(3)どうやって発信するのか?
ホームページやブログは情報を発信するための最も簡単なツールの一つだと考え
られます。中小企業の経営者は、結構ブログを使って情報発信していますね。

ブログに取り組み始まることで、投稿できた!写真を掲載できた!コメントを
もらえた!問い合わせが来た! このように、小さな成功体験を積み重ねられる
のが、ブログの面白い一面だと思います。

そして、何事にも通じる継続の重要さを実感できることです。さらに、情報に
対してのアンテナが鋭くなり、ブログの記事を書く段階で、間違ったことを
書かないために、あやふやな部分は検証したり、他人に説明できる言葉を捜す
ことをすることでしょう。

この作業が自分の知識を一段と深く広く確実なものにステップアップすること
となります。

継続は金なりですね。
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